2011 Fiscal Year Annual Research Report
リソソーム蛋白LAPTM5によるBCRの分解機構の解析
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22790482
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大内田 理佳 独立行政法人理化学研究所, 免疫多様性研究チーム, 研究員 (80391887)
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Keywords | B cell receptor(BCR) / lysosome / B cell activation |
Research Abstract |
本年度は、以下の点を明らかにした。 1、BCR分解に果たすLAPTM5の機能ドメインの探索を行った。種々のLAPTM5変異体をB細胞株WEHI231に導入したところ、ユビキチン結合ドメイン変異体のみならず、3か所のPYドメインに点変異を導入した変異体でさえも、BCRのdownmodulationを促進する機能を保持していた。この結果から、LAPTM5による分解機構が、T細胞受容体とB細胞受容体では異なる可能性が示唆された。 2、SPF環境下で長期飼育したLAPTM5欠損マウスにおける自己免疫疾患の自然発症の有無を評価した。野生型に比してLAPTM5欠損マウスでは、血中のIgMレベルが有意に上昇し、IgMおよびIgG型抗dsDNA抗体の蓄積が観察された。さらに、Hep2細胞を用いた核染色の結果から、IgG型抗核抗体がLAPTM5欠損マウスで観察された。また、組織化学的な解析において、LAPTM5欠損マウスの腎糸球体における自己抗体沈着を認めた。すなわち、LAPTM5によるB細胞抗原受容体の発現制御が、生理的に極めて重要なシステムであることを提示した。 3、BCR分解制御のカスケードにおいて、これまでに知られているCbl-bとの機能的な相互作用を、Cbl-bとLAPTM5の二重欠損マウスを樹立し解析した。その結果、抗原刺激後の細胞表面BCRの発現量が二重欠損マウスで相加的に上昇していたことから、LAPTM5がCbl-bとは異なる経路でBCRの分解を制御している可能性が示唆された。一方、長期飼育マウスでのIgM上昇ならびに抗dsDNA抗体の蓄積が、単独欠損マウスでそれぞれ上昇していたが、二重欠損マウスでの相加的な増加は観察されなかった。従って、2つのBCR分解経路の破綻が、劇的な自己免疫疾患誘発には繋がらないものの、自己応答性のB細胞の抑制に重要であることが判明した。
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Research Products
(2 results)