2012 Fiscal Year Annual Research Report
がん医療における患者参加型の有害事象報告の有用性に関する研究
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22790488
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒田 佑次郎 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (50538783)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | がん / PRO / 医療社会学 / 臨床心理学 / 有害事象 / 患者参加 / 患者医師関係 / 患者役割論 |
Research Abstract |
がん医療における正確度の高い副作用および有害事象評価は、科学性を重視する臨床試験において重要な課題である。がん臨床試験における有害事象は、CTCAEが標準的に用いられ、担当医師によって評価がなされてきた。一方で、客観的な事象(検査値や観察可能な症状)に比し主観的な事象(痛みや嘔気などの症状)に関しては、欧米を中心に医師と患者の評価が必ずしも一致しないことが複数の研究によって示されている。また、日本人を対象とした本研究でもそれを支持する結果が得られた。 最終年度は、これまで行った質問紙による定量的な調査結果とインタビュー調査による定性的な調査で得られた知見を、健康と病いの社会学(医療社会学)の文脈に位置づけ、その問題点と今後の展望について考察をした。科学性を重視する臨床試験に不足している「患者の声」と「患者の視点」を取り入れる試みのひとつにQOL評価がある。しかしながら、(1)QOL概念の多義性や(2)構成概念が医療者・研究者の視点から構成されている等の批判もなされており、必ずしも定着しているとは言いがたい。その後、PROという概念が登場し「患者が評価の主体」とすることにより、多義性は回避されたものの、未だ構成概念は医療者・研究者に規定されている問題点が残っている。Fitzsimmons(1999)は、尺度開発に先立ち、対象となる患者にインタビュー調査を行った上で、構成概念を確立する試みをしている。今後は尺度開発の初期(Itempoolの作成)から、患者の参加を促すこと、そしてその方法論を整備していくことが、患者の視点の反映に繋がることが考えられる。
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Research Products
(5 results)