2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22790499
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
根路銘 安仁 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特任准教授 (00457657)
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Keywords | 地域推薦枠学生 / 地域医療教育 / 地域医療実習 |
Research Abstract |
平成23年度は、平成22年度の調査結果を踏まえ、地域医療実習へ伝えることが望ましい12項目の内、複数項目を同時に実習するプログラムが入学早期から重要と判断し鹿児島大学地域枠学生へ実施した。実習地は鹿児島県の島嶼部で4泊5日の日程で行った。 1年生17名に対し、4月と3月にアンケートを実施しVAS値(0-10)で測定した。「離島へき地医療に興味がありますか」の問いに対し、前8.0±1.6と当初より高かったが、後8.4±1.1に興味が増していた。また、「医師不足の診療科や地域で働きたいという気持ちがありますか」に対しては、前8.1±1.7から8.3±1.1になっていた。「地域枠であることをどう思いますか」に対しては、7.7±2.2から6.7±1.6へメリットと考える割合が減少していた。「地域での就労義務があることや奨学金の返済義務があることで、学生生活に不安を感じることがありますか?」の対しては、5.1±2.6から5.1±2.6と変化がなかった。 一方、2年生には同様な離島実習を1年生時に行い、本年は関連地域での医療実習を行った。その結果、「離島へき地医療への興味」の問いに対し8.9±1.8、「地域で働きたい」は8.8±1.6、「地域枠のメリット」は8.5±2.0、「不安」は4.2±3.9となっていた。 今回の調査では数が少なく統計学的な有意差は認められなかったが、地域医療実習は、地域医療への興味、勤務志向は高められていた。しかし、1年生では実習前後で地域枠のメリットが下がった理由は、実習を行ったことにあるのか、実習が正規カリキュラム内でなく、休暇中に実施したためなのか、他の学生と異なる待遇を行ったせいかはわからなかった。しかし、2年生では、地域枠のメリットを感じ、不安が軽減する傾向があった。対象者が異なることによる影響もあるが、繰り返し実習を行い、将来の現場を見せることで本傾向が強まっていく可能性もある。今後、長期的な観察と規模を広げた調査が必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画で、本年度鹿児島大学の地域枠学生で、地域医療実習を行えている。単回の地域医療実習のプログラムはある程度確立して効果は出ている。教育の評価についても行えているが、評価ツールの作成には、評価をどの時点におくのかが決定できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
単回の地域医療実習のプログラムはある程度確立して効果は出ているものの、地域枠学生への地域医療実習が単年度の効果だけでは判断ができないことが明らかになった。今後は、医学部6年間を通じた教育の効果についても確認しながら検討を進めていく必要がある。そのためには、6年間での地域医療実習プログラムの確立のため、鹿児島大学への地域枠学生の学年を追った追跡調査が必要である。そのため、全国へプログラムを発信するには、科学的な根拠の作成には時間的、数的な限界がある。研究の終了時までに、モデル案としてのプログラムを発信する予定としたい。、
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