2011 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病に対する認知行動療法の費用対効果および財政的インパクトに関する研究
Project/Area Number |
22790503
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐渡 充洋 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10317266)
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Keywords | うつ病 / 認知行動療法 / 費用対効果研究 / 財政的インパクト |
Research Abstract |
平成22年度は、モデリングによる費用対効果研究の実施に必要な基礎データを収集するため、1.日本のうつ病患者の効用値の測定、2.費用データの収集、3.日本人を対象にした認知行動療法の臨床効果データの収集を行った。効用値の測定では、日本人のうつ病患者に対して、Structured Clinical Interview for DSM-IVを実施して診断を確定したうえで、Hamilton Rating Scale for Depression(HAM-D)によって重症度を、EQ-5Dによって効用値を測定し、重症度ごとの効用値を計測した。費用データの収集については、費用対効果研究を実施するにあたって必要な費用のデータを診療報酬点数などから収集した。最後に、日本人を対象にした認知行動療法の臨床効果データについては、すでにpublishされている文献から、そのデータを収集した。 平成23年度は、平成22年度に計測、収集した効用値データ、費用データ、うつ病に対する認知行動療法の臨床効果のデータをもとに、モデリングの手法を用いて費用対効果および財政的インパクトの評価を行った。その結果、日本人のうつ病患者に対して通常治療に加えて認知行動療法を実施することは、英国NICEで取り入れられているICERの閾値(30,000ポンド/QALY)を用いて検討した場合、費用対効果的であることが確認された。一方、財政的インパクトに関しては、うつ病は精神疾患の中では比較的有病率が高く、受診している患者だけでも100万人を超えていることもあり、全ての患者に認知行動療法を実施した場合には、その財政的インパクトは大きくなる可能性が示唆された。今後は、どのような患者に優先的に認知行動療法を実施すべきか、また認知行動療法を受けられない患者にどのような代替的な介入が可能かといった観点からの検証が求められる。
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Research Products
(4 results)