2011 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス伝達の修飾を指標とした新規アルツハイマー病治療法の開発
Project/Area Number |
22790509
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森口 茂樹 東北大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (70374949)
|
Keywords | sunifiram / LTP / CaMキナーゼII / NMDA受容体グリシン結合部位 / OBXマウス / 電気生理学 / PKC / 認知機能 |
Research Abstract |
申請者は新規ピロリドン誘導体に注目し、誘導体の1つであるsunifiramについて検討した。電気生理学的検討の結果、sunifiramは記憶学習の指標である海馬の長期増強現象(LTP)を有意に増強し、その増強にはsunifiramのNMDA受容体グリシン結合部位への作用が重要であることを見出した。一方、NMDA受容体ポリアミン結合部位の関与は認められなかった。さらに、sunifiramはNMDA受容体グリシン結合部位を介して、細胞内のProtein kinase C(PKC)を賦活化すること、PKCの賦活化にはSrc kinaseを活性化することも同様に見出した。一方、申請者はこれまで記憶学習に必須の分子であるカルシウム/カルモデュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMキナーゼII)がLTPおよび記憶形成に重要であることを報告しており、本研究においてもsunifiramによりCaMキナーゼIIが有意に賦活化することを見出した。CaMキナーゼIIの賦活化には少なくともNMDA受容体グリシン結合部位の活性化およびPKCによるNMDA受容体NR1サブユニットの活性化が重要であることも見出した。以上より、sunifiramはCaMキナーゼIIおよびPKCの賦活化を介して認知機能調節を行うことが示唆された。そこで、申請者は実際に認知機能異常を誘発するモデルマウスを用いて、sunifiramの効果について検討した。嗅球摘出マウス(OBXマウス)は神経変性疾患を惹起し、認知機能障害を発現するモデルマウスである。SunifiramはOBXマウスに認められる認知機能障害を有意に改善すること、電気生理学的検討より、OBXマウスの海馬において低下が認められるLTPを有意に改善することを見出した。本研究結果より、sunifiramにはCaMキナーゼIIおよびPKCの賦活化を介した認知機能改善効果を有することが明らかになり、今後、より詳細な検討を行い、sunifiramの認知症へ適応できる様、研究を実施する予定である。
|
Research Products
(16 results)
-
-
-
-
-
[Journal Article] Reduced expression of the ATRX gene, a chromatin-remodeling factor, causes hippocampal dysfunction in mice2011
Author(s)
Tatsuya Nogami, Hideyuki Beppu, Takashi Tokoro, Shigeki Moriguchi, Norifumi Shioda, Kohji Fukunaga, Toshihisa Ohtsuka, Yoko Ishii, Masakiyo Sasahara, Yutaka Shimada, Hisao Nishijo, En Li, Isao Kitajima
-
Journal Title
Hippocampus
Volume: 21
Pages: 678-687
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-