2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790512
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小段 篤史 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 研究員 (80360543)
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Keywords | 生体分子 / 蛋白質 / 薬学 / 癌 |
Research Abstract |
ABC (ATP-Binding Cassette)蛋白質は、さまざまな薬剤の小腸からの吸収性や体内動態と直接結びついているだけでなく、糖尿病、動脈硬化、老人性の失明、アルツハイマー病といった疾患と関連している。その生理的重要性にも関わらず、現時点においてABC蛋白質の立体構造的知見は限られている。ABC蛋白質の立体構造を原子レベルで明らかにすることができれば、創薬のための重要な情報が得られると期待される。そこで本研究では、X線結晶構造解析の手法を用い、真核生物のABC輸送体の3次元構造を高解像度で解明することを目的とした。これまでに、ほ乳類(ヒトを含む)由来のフルサイズABC輸送体について、蛋白質の大量発現および精製を試みたが、それらの発現量、精製蛋白質の安定性や単分散性などにまだまだ問題が多く残されており、良質の結晶を得るまでには至っていない。一方で、種々の真核生物由来のハーフサイズABC輸送体について結晶化スクリーニングを行った結果、単細胞性紅藻由来のP糖蛋白質ホモログについて結晶を得ることに成功した。また、当P糖蛋白質ホモログのメタノール資化性酵母による大量発現系を確立した。この系により、数10ミリグラムの精製標品を安定供給することが可能となった。そして、得られた精製標品を用いて17,000以上の結晶化条件をスクリーニングすることにより、良質の結晶を再現性良く得ることに成功した。大型放射光施設SPring-8のシンクロトロン放射光を用いてX線回折実験を実施し構造解析を行った結果、真核生物のABC蛋白質としては、これまでに報告された中で世界最高の解像度を得ることに成功した。
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Research Products
(1 results)