2011 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク尿におけるアンジオテンシンIIとメガリンの関係
Project/Area Number |
22790514
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
山形 雅代 大阪大谷大学, 薬学部, 講師 (50454583)
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Keywords | タンパク尿 / メガリン / 慢性腎不全 / アンジオテンシンII |
Research Abstract |
腎近位尿細管刷子縁に発現しているスカベンジャー受容体であるメガリンは、糸球体でろ過されたタンパクなどを細胞内に取り込む作用がある。慢性腎臓病や腎不全では、タンパク尿を呈することが多い。このタンパク尿の是正にメガリンの発現が関与しているかどうかを検討した。5/6腎臓摘出したラットを12週間飼育することにより、慢性腎不全モデル動物を作製した。5/6腎摘出1週前、5/6腎摘出直後(0週)、2,4,8,12週目に血圧、採血、採尿を行い、得られた尿および血液より腎機能パラメーター(血中尿素窒素(BUN)、クレアチニン(Ucr,Pcr,Ccr,)、尿中タンパクを測定した。血圧は、慢性腎不全モデルラットでは、2週目より徐々に上昇し、12週目まで正常ラットより上昇していた。また、BUNは、0週より正常と比較し、優位に高値であり、腎機能が低下していた。尿中タンパクは、慢性腎不全ラットでは、2週目より徐々に上昇し、8週目では正常と比べ優位に上昇していた。これらのデーターより、慢性腎不全モデルラットが作製できたと考え、これらラットの12週目の腎臓を摘出し、組織切片を作製した。この組織切片を用いて、ヘマトキシリン・エオシン染色をしたところ、明らかな組織障害は認められなかった。しかし、同じ切片を用いて抗メガリン抗体を用いた免疫染色化学を行ったところ、5/6腎摘ラットにおいて、メガリンの発現が低下していた。以上のことより、5/6腎摘による慢性腎不全モデルラットにおけるタンパク尿は、メガリンの発現低下が関与していることが示唆された。メガリンの発現にアンジオテンシンIIが関与していることが報告されている。慢性腎臓病で用いられるアンジオテンシン受容体阻害薬のロサルタンを投与することにより、メガリンの発現がどのように変化するかを検討する予定である。メガリンの発現が制御できるようになれば、慢性腎臓病などで認められるタンパク尿の是正に貢献できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
慢性腎不全モデル動物として用いている5/6腎摘出ラットの作製が安定せず、慢性腎不全になる前に死亡する例が多い。そのため、例数が少なく、データーとしての評価が行いにくい。
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Strategy for Future Research Activity |
5/6腎摘出ラットの作製をコンスタントに行い、例数を増やしていく。経験的に、5/6腎摘出後、4週目あたりよりタンパク尿が認められるので、慢性腎不全に至る過程(4,8週目)で、と殺し、腎臓を摘出し、メガリンタンパクをwestern blot、免疫染色、メガリン遺伝子をreal time-PCRにて検討していく。またアンジオテンシンII受容体阻害薬であるロサルタンの投与により、この慢性腎不全に至る過程においてもメガリンにどのような影響を与えるか検討していく。
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Research Products
(2 results)