2010 Fiscal Year Annual Research Report
2-アラキドノイルグリセロールによる抗菌ペプチド誘導作用の解析と応用法の確立
Project/Area Number |
22790516
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
入江 圭一 福岡大学, 工学部, 研究員 (50509669)
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Keywords | 2-アラキドノイルグリセロール / 抗菌ペプチド / カンナビノイド |
Research Abstract |
抗菌ペプチドは自然免疫を担い、病原性微生物などに感染する危険から生体を防御するのに役立っている。本研究では、カンナビノイド受容体のリガンドとして同定された2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)が、ヒト大腸癌由来Caco-2細胞において、2-AGが抗菌ペプチドLL-37の発現を誘導することを明らかにした。抗菌ペプチドは、腸管、肺、皮膚などの上皮組織で感染防御を行っている。そこで、2-AGによる抗菌ペプチドの誘導作用が他の上皮組織でも起こることを確認するため、腸管と同様に病原性微生物に曝されている肺由来細胞を用いて確認した。その結果、2-AGによる抗菌ペプチドの誘導作用はヒト肺癌由来A549細胞でも確認された。また、これらの発現誘導作用と細胞内情報伝達系の1つであるp38MAPK経路の関わりを明らかにするため、p38MAPK阻害剤SB20358を用いて検討した。その結果、2-AGによる抗菌ペプチド誘導作用はSB20358の併用で抑制された。よって、この抗菌ペプチド誘導作用はp38MAPK経路を介した情報伝達が関わっていることが明らかとなった。本研究は抗菌ペプチドの発現を増加させて、自然免疫を賦活させることで、予防的に応用するために利用されると考えられる。腸管上皮で得られた抗菌ペプチド誘導作用は、炎症性腸疾患をはじめとする腸疾患に応用可能である。また、肺上皮細胞で得られた抗菌ペプチド誘導作用は、乳幼児や高齢者における呼吸器感染症の予防に応用することが可能となる。
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Research Products
(4 results)