2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790517
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宿里 充穗 独立行政法人理化学研究所, 分子プローブ機能評価研究チーム, リサーチアソシエイト (20525571)
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Keywords | シクロオキシゲナーゼ / 非ステロイド性抗炎症薬 / PET / 脳内炎症 / ミクログリア / 神経変性疾患 / LPS / アラキドン酸カスケード |
Research Abstract |
10種類以上の非ステロイド性抗炎症薬、およびその誘導体の^<11>C標識PETプローブについてLPS誘発脳内炎症モデルラットを用いた評価を行ったところ、COX-1に対して選択的な阻害活性を有するindomethacin、ketoprofen、flurbiprofen等を基本骨格とするPETプローブが、脳内の炎症部位に高い集積を示すことが明らかとなった。さらに、代謝物解析や特異性に関する検討の結果、^<11>C-Ketoprofen-Methyl ester(KTP-Me)が最も優れたPETプローブであることが確認された。また、COX-1,-2、それぞれのノックアウトマウスを用いた^<11>C-KTP-MeのCOX選択性に関する検討の結果、COX-1ノックアウトマウスでのみ^<11>C-KTP-Meの脳内集積が低下することが確認され、^<11>C-KTP-MeはCOX-1選択的PETプローブであることが明らかとなった。免疫組織化学的実験では、LPSやキノリン酸等による脳内炎症過程において、COX-1陽性活性化ミクログリアの増加が顕著であり、その経時変化は^<11>C-KTP-Meの集積変化とほぼ一致していた。従って、^<11>C-KTP-Meはミクログリアの活性化に伴うCOX-1の発現の増加、または活性亢進を特異的に捉えていると考えられる。 これまで、炎症性疾患の診断や治療薬開発の標的としては、恒常型であるCOX-1よりも、免疫反応や炎症反応などに伴って誘導性発現を示すCOX-2が注目されてきた。しかし、今回得られた成果は、脳内炎症過程におけるCOX-1の機能亢進を示唆する新たな知見であり、脳内炎症と神経変性疾患におけるCOXの機能を明らかにする上で大変重要な知見であると考えられる。
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Research Products
(3 results)