2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790517
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宿里 充穗 独立行政法人理化学研究所, 分子プローブ機能評価研究チーム, 研究員 (20525571)
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Keywords | シクロオキシゲナーゼ / 非ステロイド性抗炎症薬 / PET / 脳炎症 / ミクログリア / 神経変性疾患 / LPS / アラキドン酸カスケード |
Research Abstract |
平成22年度の成果を元に、COX-1選択的PETプローブとして開発した^<11>C-Ketoprofen-Methy lester(KTP-Me)の脳炎症診断用薬剤としての有用性に関する評価を実施した。具体的には、脳炎症診断用薬剤として既に広く用いられている^<11>C-PK11195との特性比較、および霊長類を用いた代謝物解析により、臨床応用への可能性について検討を行った。その結果、(1)^<11>C-KTP-Meは^<11>C-PK11195と比較してより早期の段階でLPS誘発によるラット脳内炎症を検出することが可能であった。(2)^<11>1C-PK11195はミクログリアとアストロサイトの両方の活性化を認識していたのに対して、^<11>C-KTP-Meは活性化ミクログリアに特異的であり、認識する細胞の特異性に優れていた。(3)アカゲザル血中おいて、^<11>C-KTP-Meは投与後速やかにカルボン酸体である^<11>C-Ketoprofenに変換されることが確認された。(4)LPS注入脳炎症モデル、および細胞移植治療後のパーキンソン病モデルカニクイザルにおいても、脳内炎症領域における^<11>C-KTP-Meの集積亢進が確認された。 以上の結果より、^<11>C-KTP-MeによるCOX-1選択的イメージングは、ミクログリアの活性化を特異的に捉えることが可能な脳炎症診断用ツールとして極めて有用である可能性が示唆された。この知見は、COX-1が活性化ミクログリアに特異的なマーカーとなり得ることを示すと共に、脳炎症過程におけるCOX-1の機能を示唆し、脳炎症と神経変性疾患におけるCOXの機能を明らかにする上で大変重要な成果であると考えられる。また、霊長類における有用性が確認されたことから、今後、^<11>C-KTP-Meを臨床研究、および診断・治療の分野で広く活用することが期待できる。
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Research Products
(9 results)