2010 Fiscal Year Annual Research Report
受容体の糖鎖修飾が麻薬性鎮痛薬の作用において果たす役割の解明
Project/Area Number |
22790518
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
笠井 慎也 (財)東京都医学総合研究所, 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (20399471)
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Keywords | 糖鎖 / 遺伝子 / 脳・神経 / 細胞・組織 / 薬理学 |
Research Abstract |
ミューオピオイド受容体のAsn結合型糖鎖鎮修飾に影響を及ぼすと予想される遺伝子変異(G164A, Ser55Asn)を有するHMIマウス系統において、G164Aを指標に戻し交配を行いコンジェニック系統(Oprm1^<HMI/HMI>)を作製した。このコンジェニックマウス系統においてモルヒネの鎮痛作用をtail-flick test及びhot-plate testにより検討した結果、Oprm1^<HMI/HMI>マウスにおいてモルヒネの鎮痛効果が亢進していることが明らかとなった。ヒトミューオピオイド受容体遺伝子にはAsn結合型糖鎖修飾部位が5箇所から4箇所へ減少させる遺伝子多型(A118G, Asn40Asp)が存在し、118G(Asn結合型糖鎖修飾部位が4箇所)の保有者ではオピオイド性鎮痛薬の鎮痛効果が低下していると報告されている。一方、HMIマウス系統ではミューオピオイド受容体のAsn結合型糖鎖修飾部位が4箇所から5箇所へ増加しており、糖鎖修飾部位の数とオピオイド性鎮痛薬の鎮痛効果はヒトのA118G遺伝子多型の結果と一致する。このことからHMIマウス系統はヒトA118G遺伝子多型の作用を解析するためのツールとして有用であると考えられる。 また,4箇所存在するマウスミューオピオイド受容体のAsn結合型糖鎖修飾部位に影響を及ぼす変異体の発現用ベクターを作製した。次年度は、HMIマウス系統及び変異体発現細胞株におけるミューオピオイド受容体の糖鎖修飾について解析を行い、ミューオピオイド受容体の糖鎖修飾とオピオイド性鎮痛薬の作用との関係を明らかにする。
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