2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト乳幼児におけるアレルギー性疾患発症に関連する環境因子に関する分子疫学研究
Project/Area Number |
22790546
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
辻 真弓 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (40457601)
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Keywords | アレルギー・喘息 / 社会医学 / 分子疫学 |
Research Abstract |
アレルギーの発生機序は未だ不明確な点が多く、明確な予防策も確立していない。アレルギー疾患は多因子疾患で、複数の遺伝的要因と環境要因の相互作用によって発症が制御されていると報告されている。小児のアレルギー疾患に関しては経時的に症状が寛解していく場合も多いが、逆に大人まで症状を継続する場合もある。 今年度は目標対象者数200名(年齢生後3ヶ月~6歳)のサンプリングを終了した。生体試料並びに質問票調査を行い、詳細なライフスタイルデータも収集した。アレルギー発症にTh1, Th2, Th17系のサイトカインが調節因子として関与していることが近年明らかになりつつある。また小児のアレルギー発症の原因の一つにTCDD, PCBといった環境中毒物質が考えられている。Th1, Th2, Th17系のサイトカインの発現の調節因子として、リガンド結合型転写因子であるAhRが寄与している可能性が指摘されている。よって今年度は特に胎盤・母乳を通して環境中毒物質の影響を強く受けると考えられる4歳時未満の児を対象としてまずは研究を開始した。血液試料を用いて、血中環境中毒物質測定及びcDNAを採取しRT-PCRを施行した。IL17, IL10を現在まで測定している。今後はこれらの実験結果と質問票調査から得られた環境因子との関係を明らかにするために疫学的手法を用いて解析を行い、アレルギーの発症・憎悪に関与する因子を探索する。さらに炎症のマーカーであるCOX2等の発現や小児の慢性アレルギーと関連の深いサイトカインも測定する予定である。これにより、特に未就学児のアレルギー疾患の発症・症状の経過に関与する因子を明らかにする可能性があると考える。
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