2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本人における心不全把握のためのバイオマーカーに関する疫学研究
Project/Area Number |
22790557
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山岸 良匡 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20375504)
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Keywords | 心不全 / 疫学 / バイオマーカー / NT-proBNP / 心房細動 / 心電図異常 |
Research Abstract |
本研究では、長年循環器疾患の疫学調査を継続している地域住民を対象として、うっ血性心不全のバイオマーカーに関する疫学調査を実施し、一般地域集団における心不全有病者の把握精度を向上させることを目的とした。本研究では、茨城県の一農村地区(人口17,000人)及び秋田県の一農村地区(人口5,500人)における30歳以上の住民を対象として、健診時にうっ血性心不全のバイオマーカーであるNT-proBNPを測定し、地域における一般集団における心不全の実態、及び他の健診所見、問診所見等との関連を分析した。両地域で合計3545人について、NT-proBNP(pg/ml)の測定を実施した。その分布は、55未満が59%、55-124が29%、125-499が11%、500-949が1%、950以上が0.5%であった。NT-proBNPが500までの範囲では、年齢が高くなるほどNT-proBNP値も上昇した。500以上では年齢との関連はなかった。また、NT-proBNPが950までの範囲では、NT-proBNP値が高いほど高血圧の有病割合も段階的に上昇したが、950以上では低下した。糖尿病治療、心疾患治療、心房細動、夜間呼吸困難、労作時呼吸困難は、いずれもNT-proBNPと正相関を示した。特に心電図異常(異常Q波、高度ST-T変化、完全左脚ブロック、心房細動のいずれか)はNT-proBNPと強い相関を示し、その性・年齢・地域調整有病割合はNT-proBNPが55未満で2%、55-124で3%、125-499で14%、500-949で76%、950以上で88%であった。以上より、日本人一般集団において、NT-proBNPが種々の循環器リスクファクター、特に心房細動や心電図異常と強い関連を示すことが明らかとなった。中程度高値に相当する55-124pg/mlの者への健康指導が将来の心不全予防に有効である可能性がある。
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