Research Abstract |
平成22年度は,福井県における自閉症スペクトラム障害(ASD)のきょうだいに対する支援の現状やニーズを把握するためのアンケート調査を行い,ASDのきょうだい児に対する支援活動を開始した。アンケート調査は,本申請者の所属する医療機関,教育機関,療育機関や支援機関の関係者を含め,福井県内の発達障害当事者のきょうだい,保護者と支援者の合計238名に対して行い,幅広い年齢層と専門職種の方から回答を得た。福井県においては,ASDのきょうだい支援活動はほとんど行われていないが,きょうだい支援の関心や要望は非常に高く,その対象や内容は多様であるということがわかった。今後は個々のニーズに応じた支援を行うには多面的な支援体制の構築が必要であると思われた。その要望に応えるために,われわれは,「きょうだいの会」を立ち上げた。「きょうだいの会」は,「きょうだい」同士が自由に交流し,楽しく過ごせる場,強制的に内面表出を促すものではなく、自発的に生じた様々な思いを自由に話し合える場を提供することを目的とした。会の主旨を理解された小学生のきょうだい児5名が参加した。平成22年度は4回の支援活動を行い,毎回参加者が十分に楽しめるような内容を設定した。参加者の感想は,おおむね好評で,「きょうだい」同士が楽しく過ごせる場を提供する目的は果たしていた。また,活動を重ねるごとに,日常生活における「きょうだい」の何気ない考えや気持ちが少しずつ自然に表出されるようになってきた。次年度への課題としては,支援者と参加者のさらなる拡充,ASD圏内の「きょうだい」への対応,他の「きょうだい支援」活動との相互交流と啓発などが挙げられた。
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