2014 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザ流行期の学級閉鎖による隣接する学校・地域への伝播抑制効果の検討
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22790564
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Research Institution | University of Niigata Prefecture |
Principal Investigator |
太田 亜里美 新潟県立大学, 人間生活学部, 准教授 (30567269)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 新型インフルエンザ / 学級閉鎖 / 流行パターン / 流行阻止 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において、インフルエンザ伝播の形式を、新型インフルエンザ流行のはじまる08/09年、新型インフルエンザ流行のはじまった09/10年の2年間で比較を行った。インフルエンザの流行状況は08/09年、09/10年とも南西側の長野方面からの流行が上越に入ってきていると考えられた。近隣の市の中心部に比較的近く、高速道路、電車の路線が通っていることの影響が考えられる。 08/09年の学級閉鎖に関しては、小規模の学校ほど学年閉鎖の対応が早く、短期間の学級閉鎖であることから、流行も阻止できていた。一方大規模な学校は学級閉鎖開始時期が流行がピークに達してからと遅い開始となっていた。そのため、持続的に小流行が続き、2回の大きな流行を認める率が高かった。また、流行が2回みられる学校の周辺では、同じく後半に再度流行のみられる学校が増えることがわかった。学級閉鎖にて、流行を阻止できたとしても、周辺の学校に流行がおこると、再度流行を起こしてしまう可能性が考えられる。 新型インフルエンザの流行した、09年秋には流行早期に学級閉鎖が行われており、阻止できていた。早期の対応ができ、かつ数日の閉鎖期間を設けたため可能だったと考えられる。一方で、09/10シーズン冬は、08/09年と比較して、学級閉鎖の実施も多く、閉鎖期間が長くなったにもかかわらず、流行は抑えられるのではなく、閉鎖中さがるものの、すぐにまた流行がみられる、の繰り返しがみられた。ウイルスの感染力の高さだけではなく、学級閉鎖を行うタイミングが遅い可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、学級閉鎖の効果および、また人口密度も流行に関係していると思われるものの、マルチレベル分析などによっても統計学的有意ではなかった。また、学級閉鎖の効果がでていないこともあり、実施予定であったアンケートも保留となっている。また、流行がどのように広がっていくかは明らかになりつつあり、再度学級閉鎖成功例を元に分析を続けていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
学級閉鎖の効果がでていない理由として、学級閉鎖は学校の規模により、対応をかえなければならない可能性がある。そのため、学校の規模および周辺の人口密度を中心とした視点から分析を進める方針である。また流行速度が速いため、同時期に流行が起こっているようにみえるものの、以前の研究において、週末に罹患し、各学校ともに月曜より流行がはじまるなどみられていたため、学校の要因を選ぶため、月曜日を除外して新たに分析を進めていく方針である。 最終的には、流行早期に流行に注意すべき学校(流行の速い学校)、学校規模に応じた効果ある学級閉鎖の時期(流行の程度、曜日)を決定する。
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