2010 Fiscal Year Annual Research Report
平坦・陥凹型大腸腺腫を中心とした大腸前がん病変に関する疫学研究
Project/Area Number |
22790579
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
山地 太樹 独立行政法人国立がん研究センター, がん予防・検診研究センター, 研究員 (10466203)
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Keywords | 大腸腺腫 / 肥満 / 内臓肥満 / インスリン / インスリン様成長因子 / インスリン様成長因子結合蛋白 / アディポカイン / 分子疫学 |
Research Abstract |
本研究では、国立がん研究センターがん予防・検診研究センターで2004~2010年に大腸内視鏡検査を受けた受診者を対象に、観察された全大腸病変の研究用データベース構築を進めている。本年度は、そのサブサンプルである2004~2005年の受診者1,520名を対象に、肥満と大腸腺腫との関連を説明するメカニズム解明を目指した分子疫学研究を行った。まず初めに、腹部CTを用いて測定した内臓脂肪体積が、体脂肪の指標であるBody Mass Indexとは独立して大腸腺腫と関連していることを明らかにした。次に、内臓脂肪蓄積はインスリン抵抗性と関連している事が知られているため、インスリン関連マーカーと大腸腺腫との関連を検討したところ、C-ペプチド・インスリン様成長因子-I・インスリン様成長因子結合蛋白-1と言ったインスリン関連マーカーが男性でのみ大腸腺腫と関連していることが明らかになった(交互作用p=0.03~0.14)。本研究で見られた男女差は、日本人を対象とした大腸がんの研究でも見られており、大腸発がんにおいて肥満の影響が男女で異なることを説明する知見とも考えられる。最後に、脂肪細胞から産生される生理活性物質であるアディポカインに注目し、大腸腺腫との関連を検討した。アディポカインの一種であるアディポネクチンの血漿濃度は大腸腺腫と負に関連しており、別のアディポカインであるレプチンの血漿濃度は大腸腺腫と正に関連していた。本研究で得られたもっとも興味深い知見は、インスリン抵抗性に関連する複数の指標で調整しても、アディポネクチンとレプチンとの間に交互作用が見られたことである(交互作用p=0.007)。この知見から、脂肪細胞から産生される複数のアディポカインがインスリン抵抗性を介する間接的なメカニズムだけでなくより直接的なメカニズムで大腸発がんの初期段階に関連している可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)