2011 Fiscal Year Annual Research Report
映像を利用した集団版認知機能評価検査の開発と有効性の検討
Project/Area Number |
22790583
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Research Institution | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
Principal Investigator |
鈴木 宏幸 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (90531418)
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Keywords | 認知機能評価 / 神経心理学検査 / 映像 / 高齢者 / 認知症 / 軽度認知障害(MCI) / 集団検査 / スクリーニング |
Research Abstract |
本研究は,高齢者における認知機能障害のスクリーニングと健常高齢者の認知機能評価の両面を満たし,かつ20分程度で実施可能な集団版の認知機能評価検査の開発を目的としている。集団版認知機能評価検査の開発に向け、候補となる検査課題の選出のための文献レビューを行い、特に有用な検査課題について検討を行った。記憶課題について、健常高齢者群44名、MCI群17名、軽度AD群17名を対象に3種の課題を実施し比較した結果、Montreal Cognitive Assessment(MoCA)で用いられている聴覚呈示による5単語記憶課題がスクリーニング検査として最も有効であることが示され、健常高齢者MCIを鑑別する際の感度は91%であり、特異度は71%であった。他にEnhanced Cued Recall(ECR)、Word Fluency(WF)、Trail Making Test(TMT)についても検査課題としての有用性について検討を行い、集団版認知機能評価検査の作成に向けた課題を選定した。選定された課題を基に集団版認知機能評価検査を作成した。本検査は実行機能検査(修正TMT2種),視空間認知機能検査(修正時計描画2種),記憶機能検査(5単語記憶課題・ECR),言語流暢性検査(WFの音韻・意味)、抽象思考検査(類似課題の具象物・抽象物)の5つ認知機能領域について約20分で測定可能な検査であり、DVDやPCによって映像の投影が可能な環境であれば、検査用紙と鉛筆を用意するだけで実施が可能である。得点の集計による評価に加え、各認知領域に用いられている2種の課題を比較することで、機能低下の詳細が検討できるように作成されている。地域在住高齢者199名(男性56名、女性139名、平均年齢74.8±7.1歳、平均教育年数11.4±2.6年)を対象に本検査を実施した。各認知領域の得点と年齢・教育年数についていずれも有意な関係がみられた。診断のある認知機能低下者に本検査を実施したところ、地域在住高齢者との間に有意差がみられた。また、本検査の作成に伴い、「検査者用教示マニュアル」、「検査採点マニュアル」、「特殊回答事例集」も合わせて作成した。
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