2011 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪酸摂取の認知機能に及ぼす影響に関する長期縦断疫学研究
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22790584
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
大塚 礼 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 予防開発部・予防栄養研究室, 室長 (00532243)
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Keywords | 疫学 / 脂肪酸 / 認知機能 |
Research Abstract |
高齢化に伴い認知症有病者の増加が懸念されている。本研究は食事を介した認知機能の低下予防を目的とし、10年以上実施されている地域在住中高年者を対象とした長期縦断疫学調査の蓄積データから、脂肪酸と認知機能との関連について検証するものである.脂肪酸摂取量は3日間の秤量式食事記録調査から算出し、認知機能は認知機能障害スクリーニング検査(MMSE:Mini Mental State Examination)およびウェクスラー成人知能検査を用いて評価した。さらに生体内脂肪酸濃度の一指標として血清脂肪酸濃度を用い、認知機能との関連性についても検討した。 本年度は横断的解析を中心に次の1から3の項目について検討した。1、脂肪酸摂取量と認知機能の関連:ロジスティック重回帰分析(調整要因:性・年齢・教育歴)からDHA(ドコサヘキサエン酸),EPA(イコサペンタエン酸),AA(アラキドン酸)摂取量5分位における「MMSE27点以下」に対するオッズ比は、EPA摂取量が最も少ないQ1群に対しQ2群0.54、Q3群0.50、Q4群0.68と有意にリスクが低下していた(p<0.05)。DHAまたはAA摂取量では、有意差は認められなかった。2、脂肪酸摂取量と血清脂肪酸濃度の関連:血清DHA,EPAは摂食量と有意な相関を示したが(ピアソンの相関係数・男女ともに0.2-0.4, p<0.05)、AAは女性では有意な相関は無かった。3、血清脂肪酸濃度と認知機能の関連:血清DHA,EPA、AA濃度の5分位における「MMSE27点以下」の者の割合に有意差は認められなかった。しかし総血清脂肪酸量に占める比率で検討すると、性・年齢・教育歴調整後、EPA(%)とAA(%)5分位では量反応関係は認められないものの、最も血清中の比率(%)が低いQ1群では「MMSE27点以下」のリスクが高かった。 以上より、DHA・EPAともに一定量の摂取は必要であるが、血清濃度と認知機能との関連を踏まえても、DHA・EPA摂取量が多い日本人では、DHA・EPAと認知機能の量反応関係は認められない可能性が考えられた。 しかし血清EPAあるいはAA(%)が低い群では「MMSE27点以下」のリスクが高く、引き続き、縦断的解析を中心に本申請課題について検討を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した計画にそった内容が、順調に検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の方向性は申請書に記載した通り、今後も進める予定である。研究開始後の問題点としては、脂肪酸の中でも特に魚油由来のn-3系多価不飽和脂肪酸の対象集団における摂食量や血清中の濃度が、研究開始前に想定していた値より高値を示しており(異常値を示している為ではなく、魚油摂取の多い日本人から得られた値の為)、当初予定していた解析手法が本研究課題を遂行する上で見合わないケースが出てきている。この問題に対しては、データの特性を把握し、統計手法を練ることで対処する予定である。
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Research Products
(3 results)