2011 Fiscal Year Annual Research Report
肺炎球菌ワクチン(PCV-7)の導入により、新たな流行クローンは出現するのか?
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22790589
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
河原 隆二 大阪府立公衆衛生研究所, 感染症部, 主任研究員 (10332454)
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Keywords | 肺炎球菌 / ワクチン / 薬剤耐性 / 分子疫学 / 母子保健 |
Research Abstract |
2007~2012年3月に小児112例(髄膜炎2例、肺炎1例、潜在性菌血症他109例)・成人4例(死亡2例、髄膜炎1例、潜在性菌血症1例)の血液・髄液等無菌部位より分離された肺炎球菌116株を対象とした。薬剤感受性試験は微量液体希釈法を用い、PCGのMIC値(ug/mL)により、PSSP≦0.06、0.06<PISP<2、2≦PRSPと分類し、他の薬剤についてはCLSIの基準に基づいて判定した。血清型は、肺炎球菌型別用血清を用いて決定した。薬剤耐性遺伝子については、ペニシリン結合タンパク2x、2b、1a遺伝子配列の解析およびリアルタイムPCRによるerm(B)、mef(E)/(A)、tet(M)の検出を行った。MLSTは、http://spneumoniae.mlst.netに記載されている方法に基づいて実施した。 2008~2010年の年平均の症例数は32.7例であったが、2011年は12例と大きく減少した。また、2010年までのPCV-7のカバー率は76.7%であったのに対し、2011年は30.8%と顕著な低下が見られた。一方でワクチンに含まれない血清型株による症例数には特に大きな変化は見られなかった。 これは、PCV-7が2010年に国内で販売開始され、2011年頃から公費助成の広がりとともに普及が進んできたことから、その効果が現れてきたものと推測された。また、特定の血清型や遺伝子型株の増加は見られず、これまでのところ新たな流行株の兆候は感知されていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでのところ検体の収集やその解析に大きな問題はなかったが、2011年以降症例数そのものが大きく減少しており、データをまとめていく上で難しい状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに引き続き検体収集と菌株解析を継続して実施する。症例数の減少については対処することが困難であり、研究期間を予定よりも延ばすことも検討する。また、健常者の保菌状況を調べてワクチンの影響等を見ることで、本研究のデータと比較できないか検討しており、今後共同研究者との調整をすすめる予定である。
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Research Products
(1 results)