2010 Fiscal Year Annual Research Report
肺免疫染色を用いた死亡前における全身状態の病理組織学的評価法に関する研究
Project/Area Number |
22790595
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
井上 裕匡 三重大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (50363338)
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Keywords | 急性肺傷害 / 肺脂肪塞栓 / 熱ストレス / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
法医解剖では詳細な解剖にもかかわらず急死のメカニズムが判然とないものが残されている。しかし、このような事例であっても短時間の病態変化を捉えることが可能であれば診断精度は向上するはずである。そこで、法医学的に有用な短時間肺障害マーカーの検索を目的として、熱ストレスや脂肪注入といった急性肺傷害を来す病態の分子病態学的検討を行った。熱ストレスのみ肺脂肪寒栓のみ、熱ストレス後に肺脂肪塞栓を作成した3群を設定し、急性肺傷害モデルラットにおいてストレス暴露後1時間後の肺組織に発現するIL-1β、IL-6、TNF-α、VEGF、HGF、KGF、COX2、TGF-β、HSP70の各mRNAを定量した。その結果、熱スドレスではIL-6以外の各遺伝子が有意に増加し、脂肪塞栓では炎症性サイトカインであるIL-1β、IL-6、TNF-αに加え、KGF、COX2mRNAの発現か増加していた。さらに、炎症性サイトカインであるIL-1βは熱ストレス後の脂肪塞栓によって相乗的に発現が増加していた。すなわち、肺傷害はその誘因となる複数の因子によっては相乗的に増悪する可能性が明らかになったと同時に、我々が以前に提唱した「肺脂肪寒栓の予後は、その原因となった病態の重症度の影響される」という仮説が分子病態学的に示された。これまでVEGF、HGFの2種類につき、解剖事例における肺組織で免疫染色を行ってきたが、この結果をふまえてKGFも対象とする予定である。
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Research Products
(1 results)