2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790600
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
井濱 容子 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80347137)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 陰圧損傷 / 法医解剖 / 肉損傷 / 挫滅症候群 / 胸郭運動障害 / 呼吸障害 / 突然死 |
Research Abstract |
本研究の目的は、局所(右上肢)に高度の陰圧が負荷された直後に死亡した実際の法医解剖症例について、その死因ならびに死のメカニズムを解明することであった。併せて、局所に負荷された陰圧が生体に与える影響を解明するために実験動物を用いて局所陰圧モデルによる研究を行った。 当初、ヒトの片側上肢は体重の約15%に相当することから、実験動物(ラット)では同比率に相当する片側後肢を損傷部位として、陰圧負荷による局所・全身所見について検討を行った。その結果、陰圧損傷の本態は筋肉損傷であることを示し、陰圧そのものが筋肉を損傷することを明らかにした。しかし、下肢への陰圧負荷ではラットは死亡せず、局所の吸引負荷が死を引き起こすメカニズムについては不明であった。 そこで、実際の解剖症例と同部位であるラットの右上肢に陰圧を負荷したところ、10数秒程度で急激に血圧が低下して呼吸停止に至り死亡した。生理学的には、①負荷部位の圧力が1/10大気圧になった時点で血圧が急速に低下し→②血圧低下が生じてから10数秒以内に突然の呼吸停止が起こり→③呼吸停止後に血圧は一旦上昇するが次第に低下して心停止に至る、という経過が全てのラットにおいて認められた。さらに、ラットの左上肢あるいは前胸部に対しても同様の陰圧負荷を行ったところ、右上肢に陰圧負荷した場合と同じ経過を取ってラットは死亡した。この経過は、実際の解剖症例において認められた経過と非常に類似したものであった。 以上の結果を総合的に判断すると、下肢に陰圧負荷した場合には死には至らず、上肢ならびに前胸部に陰圧を負荷した場合には速やかに死亡しており、局所陰圧による死には胸郭運動障害が関与している可能性が高いと考えられた。一方で、胸部周囲への陰圧負荷によって脳虚血や心臓周囲循環に変化が生じている可能性は否定できず、さらなる研究を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)