2011 Fiscal Year Annual Research Report
飲酒者における外傷性脳浮腫増大機構のエピジェネティクス:マイクロRNAの役割
Project/Area Number |
22790601
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
片田 竜一 札幌医科大学, 医学部, 助教 (00423757)
|
Keywords | アルコール医学 / 頭部外傷 / アクアポリン4 |
Research Abstract |
飲酒者の頭部外傷が重症化することが知られており、その機序として、アルコール摂取により脳挫傷後脳浮腫が増大することをわれわれは以前報告した。脳浮腫形成には酸化的ストレス、電解質異常や水チャンネルの一つである脳アクアポリン4が関与することがわかってきている。そこで本研究では、アルコールによる脳挫傷後脳浮腫の増大に関する機序を明らかにするため、ラット脳挫傷モデルを作成し、酸化的ストレスの影響、脳アクアポリン4の発現、血中電解質を検討した。エタノール摂取後脳挫傷を受傷すると酸化的ストレスが上昇し、その阻害剤を投与すると脳浮腫が軽減した。このことから、アルコールによる脳挫傷後脳浮腫の増大に酸化的ストレスが関与することが明らかになった。また、脳アクアポリン4の発現上昇、血中ナトリウム濃度の減少が認められたことから、エタノールによる脳浮腫増大に電解質、特にナトリウム低下が脳アクアポリン4発現上昇につながると考え、ラットアストロサイトを使用した細胞実験を行った。幼弱ラットから分離したアストロサイトを低ナトリウム環境培地および等ナトリウム環境培地にエタノールを添加した培地で培養後、タンパクを抽出しアクアポリン4の発現を検討したところ、低ナトリウム環境培地にエタノールを添加した群においてアクアポリン4の発現上昇を認めた。このことから、エタノールによるアクアポリン4発現上昇にナトリウム濃度が関与することが明らかになった。本研究では、エタノールによる脳挫傷後脳浮腫の増大に脳アクアポリン4の発現上昇が関与し、その機序として低ナトリウムが関与することを明らかにした。このことから、飲酒者の頭部外傷後脳浮腫の治療に低ナトリウム血症の改善が脳浮腫の増大防止につながる可能性が示唆された。
|