2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790611
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
関口 敦 東北大学, 加齢医学研究所, 教育研究支援者 (50547289)
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Keywords | 脳・神経 / ストレス / 心身症 / 心身相関 / 感情抑制 |
Research Abstract |
本研究の目的は、心身症の心理的背景である『ストレス脆弱性』と『身体化』の神経基盤を、脳機能イメージング技法を用いて解明することである。具体的には、(1)精神的ストレスを抑制する時に、共通した脳活動パターンと臓器特異的な脳活動パターンが存在し、(2)精神的ストレスを抑制する時に活性化する脳部位(外側前頭前野)の活動が低下し、情動処理に関わる脳部位(辺縁系)の活動が上昇し、(3)身体症状特異的に、身体感覚に関わる脳部位の活動が上昇する、との3仮説を検証する。 上記仮説を検証するために、平成22年度では代表的な心身症として、過敏性腸症候群(IBS)群30名と、健常対照群29名を対象として感情抑制課題を行った。被験者には、MRI撮像下に陰性感情を惹起させる写真を提示し、惹起される陰性感情を抑制する条件と維持する条件を設定した感情抑制課題を行った。実験の結果、IBS群で健常群に比べて、感情抑制条件に於いて、右外側前頭前野での低活動、辺縁系の一部である右扁桃体、右視床での高活動が認められた。上述の仮説(2)を支持する結果が得られている。平成22年度の研究成果は、アメリカ心身医学会で発表し、(Sekiguchi A, Sugiura M, Morishita J, Kotozaki Y, Aizawa E, Fukudo S, Kawashima R. "Neural characteristics of cognitive control of negative emotion in subjects with irritable bowel syndrome", 69th Annual Meeting of the American Psychosomatic Society, San Antonio, Texas, USA, Mar 2011)、Travel Award for MacLean Scholarsを受賞した。 平成23年度は、IBS以外の身体症状を有する心身症患者を対象としたfMRI実験を継続して行い、仮説(1)~(3)に相当する、心身症に共通した神経基盤、身体症状特異的な脳活動部位の解明を進める予定である。本研究の結果から、心身相関のメカニズムの解明の進展が期待される。
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Research Products
(1 results)