2010 Fiscal Year Annual Research Report
終末期医療におけるエビデンスにもとづく退院支援の在り方に関する研究
Project/Area Number |
22790613
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 潔 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20451817)
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Keywords | 終末期医療 / 退院支援 / 心理社会的支援 / 医療連携 / がん / 認知症 / 患者教育 / 医学教育 |
Research Abstract |
終末期医療においては、身体的ケアに加え、心理社会的支援が重要となる。それは入院患者においては退院支援として展開されているが、効果的な退院支援に関するエビデンスの確立は遅れている。本研究では、終末期医療においてエビデンスにもとづく効果的な退院支援の在り方を確立することを目的とした。 本研究の結果、退院支援の技術構造は、(1)予後の予測、(2)機能的診断、(3)社会的診断、(4)社会資源の導入・調整、(5)意思決定支援、(6)家族・介護者支援という6領域があることが明らかとなった。また、効果的な退院支援が行われているかどうかを測定する指標として、(1)患者・家族のセルフマネージメント能力の向上、(2)再入院率の低下、(3)連携時の引き継ぎエラーの減少・関係機関の信頼関係の向上、(4)在宅看取りの増加・医療資源の有効活用、(5)患者・家族の意思と選択の尊重、(6)患者・家族の寿命の延長・生活機能・QOLの向上という6領域があることが明らかとなった。 以上の視点から、特に医師の役割に注目し、予後の予測、意思決定支援を促進するツールとして、医師が患者・家族へ説明するためのパンフレットの開発を行った。終末期医療に関する需要が高い(1)がん、(2)認知症という疾患ベースのものと、(3)医療連携全般を概説する計3種類である。また、主にコメディカルの役割に注目し、機能診断を促進するツールとして、OCR技術、Excelマクロを利用した高齢者総合的機能評価のシステムの開発を行った。 これらの退院支援のプロセスは、従来の臓器別医学において十分検討されてこなかった領域であり、現時点では医師による退院支援は効果的に行われていないことが明らかとなった。卒前・卒後を含めた医師への教育が急務であることが考察された。
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Research Products
(5 results)