2010 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームと関連疾患が日常生活動作の低下に及ぼす影響の包括的検討
Project/Area Number |
22790614
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小幡 裕明 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (20571912)
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Keywords | メタボリックシンドローム / 循環器疾患 / 心不全 / 左室拡張不全 / 左室収縮不全 / 心エコー |
Research Abstract |
佐渡島においてメタボリックシンドロームと循環器系疾患を中心とした加齢性疾患との関連性を解析するための基盤構築を進めた。臨床研究プロジェクト(Project in Sado for Total Health : PROST)として、心血管疾患と内分泌代謝疾患を中心に、脳血管疾患、腎機能、骨代謝異常、歯科疾患などの登録時データ集積、血清、血漿、尿、ゲノムDNAの保存を行い、平成23年3月25日時点において812名の登録を済ませた。 また、メタボリックシンドロームと密接にかかわる心血管疾患が日常生活動作の低下に及ぼす影響の検討のひとつとして、左室拡張不全例と収縮不全例の予後に関する検討を行った。以前より本研究代表者所属機関が佐渡島において独自に調査を行っていた「佐渡心不全研究」の対象症例を上記PROST研究に統合し、6.948名の心エコー結果より抽出された拡張不全例83名、収縮不全例207名に関して検討した。6.8±3.2年間の追跡を行ったところ、全死亡率、心血管死亡率に両群間で差はなく、さらにうっ血性心不全の発症においても両群間で差はなかったが(2.0/100人年vs2.5/100人年)、脳卒中の発症が拡張不全例で多く(3.5/100人年vs1.3/100人年)、冠動脈疾患の発症が収縮不全例で多かった(0/100人年vs1.7/100人年)。多変量解析では、拡張不全例では左室壁厚が、収縮不全例では左室径が、それぞれうっ血性心不全の発症危険因子であった。本研究により左室拡張不全例も収縮不全例と同等の心血管死亡の危険があることが明らかになった。また、それぞれの病態において、合併症する心血管病や、うっ血性心不全の発症機序が異なることが示唆された。本研究結果は、左室拡張不全の病態理解や新たな治療介入点および治療指標として有用でり、本年開催予定の欧州心臓学会(ESC Congress 2011)における発表申請を行った。
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