2011 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームと関連疾患が日常生活動作の低下に及ぼす影響の包括的検討
Project/Area Number |
22790614
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小幡 裕明 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (20571912)
|
Keywords | メタボリックシンドローム / 循環器疾患 / 心不全 / 左室拡張不全 / ブコローム / 東日本大震災 / ワルファリン / 抗凝固療法 |
Research Abstract |
1:佐渡島においてメタボリックシンドロームと加齢性疾患との関連性を解析するための基盤構築を進めた。「Project in Sado for Total Health : PROST」として、基礎疾患などのデータ集積、血液、DNA資料の保存を行い、現在1000名程度の登録が完了、進行中である。 2:心疾患が日常生活動作の低下に及ぼす影響のひとつとして、左室拡張不全例の予後に関する検討を行った。以前より行っていた佐渡心不全研究の対象例を上記研究に統合し、6,948名の心エコー結果より抽出された拡張不全例114名(DD群)、収縮不全例211名(SD群)に関して検討した。7.1年の追跡で、心血管死亡率に差はなかったが、心イベント発症はSDに多く、脳卒中発症がDDに多かった。心イベントのうち、急性冠症候群の発症はSDに多く、急性心不全発症に差を認めなかった。急性心不全発症における心エコー上の危険因子を解析すると、SDでは左室駆出率、左房径、左室径であったのに対し、DDでは中隔壁厚であり、危険因子の違いが明らかとなった。さらに、急性心不全発症時の収縮期血圧はDDで高く、Clinical scenario (CS)を用いて病態を分類すると、DDではCSIの割合がSDに比して多いことが示唆された。この結果は、拡張不全の病態理解や新たな治療介入点および治療指標を明らかにするものである。 3:東日本大震災に伴うブコローム供給停止により、当地で多く行われるブコローム併用ワルファリン療法を施行中の患者は、ワルファリン単剤療法への変更を余儀なくされた。341例について約5カ月の調査を行ったところ、INRの変化は中止2週後までは変わらず、4~8週後にかけて低下の底を形成した。期間中に出血性合併症を来した患者は4例、塞栓性合併症を来した患者は6例であり、その発症は、出血が切替え直後、塞栓が4週以後に認められた。また、切替え後に尿酸値の上昇を認めた。この結果は、震災の間接的な被害を明らかにするとともに、ブコローム中止時のワルファリン投与量や注意点、観察間隔に示唆を与えた。
|
Research Products
(2 results)