Research Abstract |
Physical Performances Tests Battery日本語版(以下PPT Battery日本語版とする)による末期がん患者の動作遂行度測定の実施可能性を検討し,痛みを有する末期がん患者の活動制限の特徴とその関連要因を検討することを目的に調査を行った.さらに,痛みを有する末期がん患者に作業療法プログラムを実施し,痛みに関する対処技能及び生活満足度に対する効果を検討した. 組織学的に末期がんと診断され,外来もしくは入院中の患者を対象とした.評価尺度として,痛みに影響される8つの目常生活基本動作の遂行度にPPT Battery日本語版,活動制限の重症度にFunctional Independence Measure(以下FIMとする),痛みにVisual Analog scale,倦怠感にBrief Fatigue Inventoryを用いた.本研究は,調査実施施設の研究倫理審査委員会の承認を受け,すべての対象者に文書で説明し,文書で同意を得た.PPT Battery日本語版の信頼性に関して,評価者間信頼性,評価者内信頼性共に高いICC値を示した,妥当性に関して,PPT Battery日本語版の各項目得点とF珈の合計得点との間に有意な関連が認められた.関連要因に関して,単変量解析または重回帰分析の結果,PPT Battery日本語版の各項目に痛みと感情状態が有意に関連し,また,その他の要因として歩行状態が有意に関連していた. 同集団を対象に作業療法プログラムを実施し,最後までプログラムを完遂した介入群26名と対象群26名を解析対象とした.2群間において,痛みに関する日常生活上の活動制限,痛みに関する対処技能,倦怠感に有意な差が認められた.生活満足度に有意な差は認められなかった.痛みを有する末期がん患者に対する作業療法プログラムは,活動制限,対処技能,倦怠感に対して短期的効果が得られ,主な評価指標としてPPT Battery日本語版は十分な信頼性と妥当性を有することが示された.
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