2011 Fiscal Year Annual Research Report
難治性C型肝炎の完全治癒を目指した新規ウイルス制御機構の解明
Project/Area Number |
22790636
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
矢野 雅彦 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (70529693)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / B型肝炎ウイルスX蛋白質 / 酸化ストレス / ウイルス複製抑制機構 / p21細胞内局在 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
1、酸化ストレス誘導性ERKを介した抗肝炎ウイルス複製抑制機構の解明 申請者はこれまで、酸化ストレス誘導性の抗ウイルス抑制機構を解析するにあたり、C型肝炎ウイルス(HCV)コア蛋白と同様に肝細胞内のシグナル伝達を撹乱するとされている、B型肝炎ウイルスX蛋白(HBX)の発現実験モデルを用いてきた。その結果HBXにより誘導された発癌抑制分子p21、特にその細胞質内発現が、ウイルス複製にも関与していることが示唆された。細胞内p21発現は、酸化ストレスと関係があるPKCαやERKを介することが見出されているが、HBXによる細胞質内発現誘導にはPKCαのみが関与していた。一方、ERK誘導性のp21は主に核内発現であり、これはインターフェロン(IFN)がHBXによる細胞質p21を核内へ移行させる作用と同様であることから、ERKによる核内p21発現が抗ウイルス機構に関与していることが示唆された。 2、酸化ストレス誘導性ERKによる核内p21の作用 IFNは抗ウイルス効果だけでなく抗腫瘍作用も有し、制癌剤との併用により相乗効果を示すことから臨床の場でも多用されている。ところで、この相乗的な抗腫瘍機構は未だ解明されていないが、今回の解析で我々は核内p21発現を増すことによって、IFNによる制癌剤のアポトーシズ作用増強を更に促進させることが見出された。つまり、ERK誘導性核内p21はIFNによって増強するだけでなく、それ自体がIFNの作用を増強させた。実際に核内p21発現を増強させた状況でHBX発現細胞をIFNで処理すると、その蛋白発現の抑制が確認された。今後、HCV蛋白発現またはRNA複製下でも酸化ストレスを誘導することによって核内p21発現が増強され、抗肝炎ウイルス制御へ導かれるのか確認し、最終的にこの様な抗ウイルス機構と抗腫瘍機構が繋がるのではないか解明したい。
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Research Products
(1 results)