2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナルディライジンおよびADAMによる胃癌細胞の増殖シグナル制御機構の解析
Project/Area Number |
22790641
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米門 秀行 京都大学, 医学研究科, 助教 (90452359)
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Keywords | 上部消化管学 / 胃癌 |
Research Abstract |
ナルディライジン(nardilysin, MRDc)はM16ファミリーに属するメタロエンドペプチダーゼであり、TACEを始めとするADAM(a disintegrin and metalloproteinase)プロテアーゼ群を活性化することによりTNF-αやHB-EGFなどの種々の増殖因子やサイトカインの前駆体の細胞外ドメインを切断(エクトドメインシェディング)し、各々のシグナル経路を活性化することが知られている。本研究は胃癌の生物学的特性へのNRDcの寄与を解明することを目的としており、前年度までの解析により以下のことを見出している。(1)臨床検体を用いた免疫組織学的検討において、MRDcがヒト胃癌の実質で高発現している。(2)胃癌細胞株でMRDcの発現をノックダウンすると細胞増殖が抑制される。(3)NRDcをノックダウンした細胞では、IL-1αやIL-6等のサイトカインの発現が低下している。上記の機序につき更に解析を行い、以下の研究成果が得られた。(1)MRDcは胃癌細胞においてADAMプロテーゼを活性化し、自己分泌されるTNF-αのシェディングを促進する結果、NF-κBの活性が亢進する。(2)活性化したNF-κBによりIL-6をはじめとする種々のサイトカインの転写が促進され、その結果STAT3の活性化を介してCyclin D1などの細胞増殖や抗アポトーシスに働く遺伝子の転写が亢進する。これらの結果は、NRDc及びADAMプロテアーゼによる内因性のTNF-α/NF-κB及びSTAT3/IL-6シグナルの活性化が胃癌の細胞増殖の維持に重要であり、胃癌の新たな治療標的となり得ることを示唆する。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Nardilysin and ADAM proteases promote gastric cancer cell growth by activating intrinsic cytokine signaling via enhanced ectodomain shedding of TNF-α2012
Author(s)
Keitaro Kanda, Hideyuki Komekado, Tateo Sawabu, Shoko Ishizu, Yuki Nakanishi, Masato Nakatsuji, Reiko Akitake-Kawano, Mikiko Ohno, Yoshinori Hiraoka, Mayumi Kawada, Kenji Kawada, Yoshiharu Sakai, Kyoichi Matsumoto, Makoto Kunichika, Takeshi Kimura, Hiroshi Seno, Eiichiro Nishi, Tsutomu Chiba
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Journal Title
EMBO Molecular Medicine
Volume: 4(掲載確定)
DOI
Peer Reviewed
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