2010 Fiscal Year Annual Research Report
IgGの糖鎖異常に基づく炎症性腸疾患の基礎的病態解析から臨床への応用
Project/Area Number |
22790643
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新崎 信一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60546860)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 糖鎖 / IgG / B細胞 / インフリキシマブ / B4GalT |
Research Abstract |
原因不明の難治性疾患である炎症性腸疾患のIgG糖鎖異常に着目し、糖鎖異常が腸管炎症に及ぼす影響や、糖鎖異常のIgGを産生するB細胞の腸炎への関与について基礎的検討を行うとともに、臨床応用を目指し、糖鎖異常と治療効果、疾患予後との関係を明らかにする研究を遂行した。 1、糖鎖異常マウスに対する腸管炎症の誘導 β-1,4-ガラクトース転移酵素-I(B4GalT)は欠損マウスにおけるガラクトース欠損IgGの程度が、ヒト炎症性腸疾患のそれと酷似している。このマウスを用いて腸炎におけるB4GalTの関与につき検討した。B4GalT欠損マウスに実験腸炎を発症させると、野生型に比して腸炎の程度が軽減されることが示された。またその腸炎軽減に、腸管粘膜固有層や腸間膜リンパ節の単核球が産生するIL-10が重要な役割を果たしていることが明らかになった。その詳細機構について今後検討していく予定である。 2、炎症性腸疾患患者由来B細胞株の樹立と機能解析 患者および健常者から採取した末梢血B細胞を、Epstein-Barr Virusを感染させてB細胞を不死化させ、B細胞株を樹立した。現在この細胞株を用いてB細胞の機能解析を行っている。 3、IgG糖鎖変化と炎症性腸疾患の治療効果および疾患予後 IgG糖鎖変化が治療前後で変化する可能性を検討するために、炎症性腸疾患患者の寛解導入治療前後で経時的に血清を採取し、IgG糖鎖構造の変化を治療効果別に比較検討する。治療プロトコールの確立している、インフリキシマブ療法を新規導入するクローン病患者を対象とし、現在データベース作成のうえ、目標50症例中約半数まで検体収集が進行している。順次糖鎖解析を行い、IgG糖鎖変化と炎症性腸疾患の治療効果や疾患予後との関連につき解析を継続する。
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Research Products
(8 results)