2011 Fiscal Year Annual Research Report
エピゲノム的アプローチによる未分化型胃癌の早期診断体系の構築
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22790655
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
山本 英一郎 札幌医科大学, 医学部, 助教 (60567915)
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Keywords | 癌 / メチル化 / マイクロアレイ / 遺伝子診断 / 癌予防 |
Research Abstract |
未分化癌発生の分子機構の解明と発癌リスク予測の分子マーカーの同定を目的とし胃炎および胃癌背景粘膜におけるメチル化異常を網羅的に解析した。 その結果、分化型胃癌、未分化型胃癌の背景胃粘膜に共通して高いメチル化を示す遺伝子の一群を同定した。その一群より複数の遺伝子を選択し、パイロシークエンス法を用いてメチル化を定量的に解析した。RASGRF1は分化型胃癌、未分化型胃癌両方の背景粘膜において最も高頻度にメチル化されており、RASGRF1に注目し解析を進めた。 RASGRF1は胃癌細胞株および胃癌組織いずれにおいても高頻度にメチル化し、かつmRNAの発現とメチル化との間には逆相関を認めた。臨床検体153例を解析した結果、非胃癌症例の胃粘膜に比べ、胃癌症例の背景粘膜において有意に高いRASGRF1のメチル化を認めました。ROC曲線による検討でRASGRF1のメチル化レベルにより、両者を鑑別しうる可能性が示された。機能解析によりRASGRF1は胃癌細胞株の増殖と浸潤を抑制した。これらの結果からRASGRF1は胃がん抑制遺伝子として機能する可能性が示唆された。 本研究の結果、分化型胃癌と未分化型胃癌に共通するメチル化異常を示す遺伝子群が同定された。このことは、二つの異なる型の胃癌発生に共通するプロセスが存在する可能性を示唆していると考えられた。胃癌および背景胃粘膜において高頻度にメチル化する新規胃癌関連遺伝子としてRASGRF1を同定した。以上の結果から、RASGRF1のメチル化は分化型胃癌および未分化型胃癌いずれの背上景粘膜においても高頻度にメチル化しており、RASGRF1のメチル化は胃癌リスク予測マーカーとして応用しうると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
未分化型胃癌を含む胃癌リスク予測の分子マーカーとしてRASSGRF1を同定することができた。[RASGRF1の定量的メチル化測定を用いた発癌リスク予測]を特許出願した。(特願2010-239932)
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Strategy for Future Research Activity |
一部の胃癌背景粘膜においてRASSGRF1のメチル化異常を認めなかった。臨床情報により層別化して解析を行うことで、RASSGRF1のメチル化異常を示さない胃癌の特徴を明らかとする。 今後解析遺伝子を複数組み合わせる方法、メチル化の検出方法の改良などにより感度・特異度の向上を目指す。さらに予測マーカーとしての有用性を前向きに確認する。
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Research Products
(7 results)