2011 Fiscal Year Annual Research Report
星細胞を標的としたマイクロRNAの強制発現による線維化治療法の開発
Project/Area Number |
22790666
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
小川 智弘 近畿大学, 工学部, 助教 (70448752)
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Keywords | 星細胞 / マイクロRNA / 肝臓 / コラーゲン |
Research Abstract |
申請者は肝臓の星細胞を標的としたマイクロRNAによる抗線維化治療法の開発を目的に研究を進めた。マイクロRNAは近年、その機能が少しずつ明らかにされ、申請者によっても星細胞の活性化やコラーゲン産生、細胞増殖に重要なマイクロRNAが数種同定された。申請者は、その中でもcollagen 1A1の3'UTRに結合する可能性の高いmiR-29bに着目した。このマイクロRNAを星細胞で強制発現させると、I型コラーゲンの発現が遺伝子およびタンパク質レベルで抑制された(Biochem Biophys Res Commun.2010;391(1):316-21.)。また、miR-29bはマウス肝星細胞において、星細胞の活性化に伴い発現が低下するマイクロRNAであることもわかった。ヒト星細胞と同様に、マウス活性化星細胞にmiR-29bを強制発現させるとI型コラーゲンの発現が遺伝子およびタンパク質レベルで抑制されるだけでなく、星細胞の活性化まで抑えられることがわかった(Biochem Biophys Res Commun.2011;412(1):74-79.)。このため、miR-29bの標的遺伝子はI型コラーゲンだけでなく、星細胞の活性化や増殖に関与する遺伝子およびタンパク質である可能性が示唆された。そのため、これまで以上にmiR-29bを肝臓で強制発現させることによる抗線維化作用が期待された。しかしながら、現段階でmiR-29bの肝臓での強制発現は成功していない。マイクロRNAの安定性や肝臓への導入方法の確立などの課題が残った。 申請者は新たにC型慢性肝疾患患者の肝組織からRNAを抽出し、肝線維化の進展とともに発現が変化するマイクロRNAの同定に成功した。その中から、miR-222/221が星細胞の活性化に伴って発現が増加し、活性化星細胞で強発現しているマイクロRNAであることを突き止めた(Gut.2012;in press)。これらのマイクロRNAは肝線維化の診断バイオマーカーとしての有用性が期待された。
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Research Products
(5 results)