2011 Fiscal Year Annual Research Report
化学療法抵抗性大腸癌におけるCDX2およびチロシンキナーゼの相関とメカニズム
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22790670
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
船越 信介 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20297352)
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Keywords | CDX2強制発現大腸癌株 / Rac1 / ShRNA, SiRNA / 細胞接着 / caveolin1 / 免疫染色 |
Research Abstract |
本研究は大腸癌細胞においてその細胞接着、columnarmorphogenesis、浸潤、転移を担う分子機構を解明し、大腸癌治療戦略に応用することを目的とする。シグナル伝達過程にかかわる遺伝子群の中で、後天的治療抵抗性克服のために有効な標的分子を同定し、RNAInterference(RNAi)による抑制効果を検討し、新たな創薬への応用を目指す。 CDX2強制発現大腸癌Colo205安定細胞株(M-X2)とMIGR1強制発現コントロール株(MIGR1)を用いて転写因子CDX2がcaveolin1のmRNA,蛋白発現を制御しPDGFR,c-Abl,CrkLシグナル伝達系を抑制的に制御することを示した。さらにこの伝達経路の下流シグナルをつきとめるべく、smallGTPaseのRhoA,Rac1,CDC42の活性化の検討においてはRac1が減少した。ヒトの大腸癌組織を用いた免疫染色の検討においてCDX2の高発現大腸癌ではRac1の発現は認められなかったが、癌先進部においてCDX2の発現を認めない癌細胞においてのみRac1発現を認めたことは特筆すべき現象である。一方CDX2発現のない低分化型大腸癌でRac1は高発現を認めた。Caveolin1,PDGFR,IGF1R,phophoPDGFR,phosphor IGFIR,c-Abl,CrkLの免疫染色を検討しているが、CDX2発現による差は少ないと考えている。現在CDX2によるRac1発現の制御のメカニズムを追及するために、内因性CDX2を高発現するCaCO2大腸癌細胞株、T84大腸癌細胞株およびsiRNA,ShRNAを用いてCDX2をノックダウンし、mRNAおよび蛋白発現レベル、細胞接着能、細胞浸潤能、細胞増殖能を検討している。今後はマウス実験を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CDX2およびCaveolin1ともがんの病期により癌遺伝子あるいは癌抑制遺伝子としてまったく逆の機能するつかみどころのない分子であること、さらにはこれらの分子に働きかける未知の誘導タンパクあるいは抑制タンパクの存在が実験結果を左右させる可能性があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記に示したとおり、caveolin1の動きがin vitroとin vivoにおいて逆の結果となることもあり、今後はRac1とCDX2との関係に注目していく。ヒトの大腸癌組織を用いた免疫染色の検討においてCDX2によるRac1発現の制御が示唆されており、その間に介在するadaptor分子の追及を行っていくとともにRac1の転移性大腸癌における創薬の可能性について分子生物学的に検討する。
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Research Products
(1 results)