2011 Fiscal Year Annual Research Report
バイオ人工肝臓を用いた肝線維化モデルの作製と星細胞脱活性化の検討
Project/Area Number |
22790673
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
永妻 啓介 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40543658)
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Keywords | バイオ人工肝臓 / 肝線維化 / 星細胞 / 3次元培養 |
Research Abstract |
【目的】肝臓星細胞はビタミンA貯蔵細胞であるとともに、病的肝臓においてはmyofibroblast化してコラーゲンを産生し、肝臓の線維化を促進する。本研究の目的は、線維化の機構解析や抗線維化薬の開発に用いるための、バイオ人工肝臓での肝臓線維化モデルを開発することである。【方法】マウス不死化星細胞A7細胞、不死化肝細胞IMH-4、不死化類洞内皮細胞M1をラジアルフロー型バイオリアクターで培養し、バイオ人工肝蔵モデルを作製した。静止期星細胞のマーカーはビタミンA貯蔵酵素lecithin:retinol acyltransferase(LRAT)とcellular retinol binding protein 1(CRBP1)の共発現、線維化活性はTGF-β活性化の指標であるlatency associated proteinの断片(LAP-D)の培養液での濃度変化で評価した。【結果】プラスチックディッシュでの単層培養下では、星細胞A7は活性化しており、LRATとCRBP1のmRNAの発現はほとんど認めなかった。肝細胞IMH4ではLRATmRNAのみ、内皮細胞M1ではCRBPmRNAのみが発現していた。A7,M1,IMH4の3細胞を小型ラジアルフロー型バイオリアクター(RFB)で、2%FBS添加ASF-104培養液を還流し、共培養すると、約2週間の培養後、LRATmRNAは低下し、CRBP-1のみ発現を認めた。この時点で肝臓線維化活性を示す培養液中のTGF-βLAP-Dは単層培養ヒト肝臓myofibroblastの培養上清と同程度(150-200pM)検出された。3種の細胞を共培養したのみのバイオ人工肝臓では、線維化活性が強いと考えられた。そこで、線維化活性を抑制することが期待される薬剤Aを加えて、3種の細胞を共培養したバイオ人工肝蔵に投与したところ、LRATmRNAが検出されるようになり、その免疫染色でも内皮細胞と星細胞と思われる非実質細胞にLRAT陽性細胞を認めた。しかし、薬剤AではLAP濃度の低下は認めず、TGF-β活性化は抑制されなかった。【結論】マウス不死化星細胞、内皮細胞、肝細胞をRFBで共培養したバイオ人工肝臓は、通常の2%FBS添加ASF-104N培養液の培養では肝線維化活性を示した。線維化抑制薬剤を添加すると、星細胞にはビタミンA貯留能を反映するLRATの再発現やLAP-D濃度変化から、抗線維化薬の効果判定にも利用できると考えられる。実際のコラーゲン線維は2週間の培養では形態的に認めておらず、typeIV collagenの産生の観察など、さらに検討が必要である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Transplantation of liver organoids in the omentum and kidney2011
Author(s)
Saito R, Ishii Y, Ito R, Nagatsuma K, Tanaka K, Saito M, Maehashi H, Nomoto H, Ohkawa K, Mano M, Aizawa M, Hano H, Yanaga K, Matsuura T.
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Journal Title
Artif Organs
Volume: 35
Pages: 80-3
DOI
Peer Reviewed
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