2011 Fiscal Year Annual Research Report
ルミカンの糖鎖制御による膵臓癌細胞増殖・転移機構制御法の開発と治療応用
Project/Area Number |
22790675
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
山本 哲志 日本医科大学, 医学部, 助教 (20453920)
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Keywords | ルミカン / プロテオグリカン / 膵臓癌 / 細胞増殖 / 細胞浸潤 |
Research Abstract |
小型ロイシンリッチプロテオグリカンであるルミカンの膵臓癌における機能を検討するために、培養膵臓癌細胞株の一つであるPANC-1細胞にルミカン発現ベクターを導入した過剰発現細胞とsiRNAを導入した発現抑制細胞をこれまでに作成しており、ルミカンの発現量と細胞増殖能及びERKのリン酸化に正の相関性があることを明らかにしている。 今回、これらのルミカン発現調整細胞を用いてルミカンの発現が細胞の遊走・浸潤能に及ぼす影響を調べるためにタイムラプス解析とboyden chamberを用いたアッセイを行った。その結果、ルミカンの発現量と細胞の遊走能には関連が認められなかったが、浸潤能に関して負の相関が認めれられた。また、ルミカンの細胞浸潤への作用する機構を解明するために、MMP-2とMMP-9の発現量と活性について検討した。MMP-2に関してはルミカンの関与が認められなかったが、MMP-9の活性についてルミカンの発現量と:負の相関が認められた。次に、ルミカンの細胞外基質への接着能に対する影響について検討した。ラミニンに対する接着能がルミカンの発現量と正の相関を示したので、主にラミニンの接着に関わるインテグリンとして知られているインテグリンα3の発現量について検討を行ったところ、ルミカンの発現量と正の相関性を示した。現在、ルミカンにより発現が制御されるタンパク質をショットガンプロテオミクスにより網羅的に解析を行っている。 これまでに、膵臓癌細胞が産生するルミカンには種々の糖鎖修飾がされていることを明らかにしているが、その糖鎖修飾を阻害することで浸潤能を抑制すると共に細胞増殖能も抑制できる可能性が考えられた。
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