2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790677
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
倉原 琳 福岡大学, 医学部, 講師 (00341438)
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Keywords | 線維化狭窄 / 筋線維芽細胞 / TRPC4 / TRPC6 / カルシウム / 炎症性腸疾患 / TGFβ1 / コラーゲン |
Research Abstract |
《背景》難治性疾患である炎症性腸疾患(IBD)において、腸管線維化による腸狭窄が大きな問題となっている。この線維化薬物治療法開発のターゲットである筋線維芽細胞は病変部の創傷治癒に寄与し、組織再構築の際に生じる瘢痕や歪みが狭窄へ繋がる。重要な線維化促進因子であるTGF-β1は狭窄部位で増加がみられ、細胞の分化・遊走・接着・細胞外マトリックスの構築に重要な役割を担う。 《目的》本研究は腸管組織線維化調節のセンサー蛋白質と考えられる筋線維芽細胞TRPチャネルを標的として、筋線維芽細胞の線維化刺激に応答するCa^<2+>シグナル分子の潜在的な役割の探索を目的とする。 《結果》1%FBS/SmBM培地中でTGF-β1(5ng/ml)で筋線維芽細胞株InMyoFibを刺激すると、αSMA、コラーゲンI,IIIなどの線維化マーカーの上昇に伴って、TRPC4,C6のmRNA、タンパク発現が著しく上昇した。この結果を踏まえて、TRPCのアイソフォームのRNA干渉実験を行った、TRPC4,C6のsiRNAはTGFβ1によるCOL1A1、インターロイキンの発現増加を更に促進した。受容体活性化型カルシウム流入阻害剤SK&F96365をTGFβ1刺激の際に加えると、COL1A1やインターロイキンの発現に対してsiRNAと同じ作用が確認された。また、TGF-β1の下流にあるSmad2、p38-MAPK、Erk1/2のリン酸化に対しても、TRPC4やTRPC6を介したCa^<2+>硫入が有意に抑制していることが分かった。 《考察》TGF-β1線維化刺激に応答するTRPチャネルは、筋線維芽細胞のCa^<2+>シグナルを介してTGF-β1の下流のシグナルに対して抑制的に働き、消化管筋線維芽細胞におけるコラーゲンやサイトカイン産生や、線維化の進行を制御している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養細胞を用いた実験では多くのデータを得ることが出来、予想していた結論と反対な結果が得られたものもありましたが、消化管筋線維芽細胞TRPチャネルが線維化において重要な役割を果たすということを裏付ける証拠を多数得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
腸炎モデル動物を用いて狭窄モデルとしてin vivo実験を行う予定でしたが、狭窄モデルとしての報告がほとんどなく、実験動物の狭窄という症状の確認が非常に難しいとのことでした。 計画を変更して、狭窄症手術の際に採取した組織で、狭窄部位と正常部位の比較によりin vivoの検討を進めて行こうと考えます。
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