2011 Fiscal Year Annual Research Report
切除不能進行膵がんにおける網羅的ゲノム解析による個別化治療法の確立に関する研究
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22790678
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
須藤 研太郎 千葉県がんセンター(研究所), 消化器内科, 医長 (60400884)
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Keywords | 膵癌 / アレイCGH / 個別化治療 |
Research Abstract |
本研究の目的は切除不能進行膵癌患者を対象として治療前に針生検によって採取した癌組織を用いてゲノム構造異常などの網羅的分子情報解析を行い、抗癌剤感受性や予後など臨床的因子に関わる分子情報を解明し、個別化治療の構築を目指すことにある。 平成24年3月までに131例の切除不能進行膵癌患者より超音波内視鏡下生検を行い、膵癌組織の凍結保存を行った。これまで本年度34例を含む75例の生検検体よりDNA抽出を行い、オリゴチップゲノムアレイ(アジレント・テクノロジーHuman Genome CGHマイクロアレイ4×44kまたは8×60k)を用いたゲノムコピー数異常の網羅的解析を施行中である。 これまでの75例の検討では微小な針生検検体であっても平均2.26μg程度のDNA抽出が可能であった。解析の精度を高めるためには、検体中の膵癌組織の含有率が問題となるが、今回われわれは生検検体のKRAS変異の有無をdirect sequence法にて検討した。この結果、変異解析を行った27検体中22検体(81.5%)にKRAS変異を認め、過去の報告と比較し遜色ない結果が示された。昨年度、癌抑制遺伝子であるp16、SMAD familyのlossを約60%に認めることを報告したが、これらの結果と併せ、生検検体であっても癌組織の分子情報評価が可能であると考えられる。 全75例の治療法はゲムシタビン療法40例、ゲムシタビン+S-1併用療法24例、S-1療法1例、S-1併用放射線療法8例、重粒子線治療2例であった。本年度は3年の研究期間の2年目であるが、今後さらなる症例を集積しゲノムコピー数異常の解析を行い、抗腫瘍効果、生存期間などの臨床データとの関連を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年間で64例(平成22年度30例、平成23年度34例)の集積を達成しており、交付申請書に記載した60例(平成22年度30例、平成23年度30例)と比較し、おおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後さらなる症例を集積しゲノムコピー数異常の解析を行い、抗腫瘍効果、生存期間などの臨床データとの関連を検討する。 同時に解析精度を高める工夫が必要ど考えており、このためには生検検体中の膵癌組織の含有率が問題となる。現在、生検検体のKRAS変異の有無により正常細胞混入率の推定を行うことを検討している。
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