2010 Fiscal Year Annual Research Report
次世代高速シーケンサーによるB型急性肝炎慢性化成立機序の解明
Project/Area Number |
22790679
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
伊藤 清顕 独立行政法人国立国際医療研究センター, 肝炎・免疫研究センター, 肝疾患先進医療研究室長 (50551420)
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Keywords | B型急性肝炎 / 慢性化 / SNPs / HBV / 次世代シーケンサー / GWAS / HLA-DP / ジェノタイプ |
Research Abstract |
最近、本邦のB型急性肝炎において欧米型であるgenotype Aの占める割合が急速に増加していることが報告されている。Genotype Aによる急性肝炎は、他のgenotypeと異なり10%程度が慢性化することが知られており、臨床上重要な問題である。本研究においては、ウイルス側と宿主側の双方のファクターを解析することにより、genotype Aによる急性肝炎の慢性化に関わる因子を明らかにする。 すでに全国より1982年から2011年までの1066例のB型急性肝炎症例を収集した。これらの症例の中で血清の収集が可能であった643例において、ウイルス側の因子であるHBVジェノタイプの測定を完了した。また、国立国際医療研究センターの倫理審査委員会において本研究の承認を得て、宿主であるヒトのDNAの収集を開始した。現在、研究協力施設において倫理審査委員会への申請中であり、承認が得られ次第、協力施設においてもB型急性肝炎の慢性化例、遷延化例、非遷延化例のDNAの収集を開始する。宿主側のファクターとしては既報のB型慢性肝炎に関わるHLA-DP locus上のSNPs(Kamatani Y.et aL, Nat Genet,2009)が報告されている。今後は、HLA-DPA1およびHLA-DPB1のそれぞれに関連するSNPsであるrs3077およびrs9277535を用いて、これらのSNPsがgenotype Aによる急性肝炎の慢性化に関与するかどうかを明らかにする。すでに我々は、両SNPsをInvader法により簡便に安価に判別する方法を開発しており、DNA収集後に短期間での解析が可能である。また、東京大学大学院医学系研究科・人類遺伝学教室(徳永勝士教授)との共同研究により、90万種のSNPs解析可能なマイクロアレイを用いたゲノムワイド関連解析(GWAS)により、その他のSNPsと慢性化との関連を解析する予定である。既報のSNPsおよびGWASによる新規SNPsと慢性化との関連が明らかにならない際には、当センターで保有している次世代高速シーケンサーを用いることにより、リシーケンシングによる新規SNPsの探索やオミックス解析により、後天的なゲノム変化にも対応する。
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Research Products
(5 results)