2010 Fiscal Year Annual Research Report
ドキソルビシン心筋症発症におけるユビキチン転移酵素Itchの機能の検討
Project/Area Number |
22790684
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 大 山形大学, 医学部, 助教 (90400548)
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Keywords | ドキソルビシン心筋症 / アポトーシス / Ubiquitination / ユビキチン転移酵素Itch |
Research Abstract |
ドキソルビシン(Dox)心筋症の発症メカニズムを、細胞内タンパク発現調節システムであるユビキチン・プロテアソームシステムωPS)に着目して検討した。 着目した分子はユビキチン転移酵素Itchであるが、このItchは標的タンパクにユビキチンを付加する最終段階(Ubiquitination)の酵素で、UPSの中で重要な役割を担っている。しかし、これまで心筋細胞内でItchの発現を検討した研究すらない。我々は、新生仔ラット培養心筋細胞にてmRNAレベル、およびタンパクレベルで心筋細胞にItchが発現していることを確認した。また、Dox刺激により心筋細胞中のItchの発現が軽度増加することも確認した。心筋細胞中のItchの発現やDox刺激による発現の変化を検討した報告はなく、意義深いものと思われる。 また、ItchがUbiquitinationを行う標的タンパクで、かつアポトーシスにかかわる分子としてFLICE inhibitory protein (FLIP)とThioredoxin-intercting protein (TXNIP)に着目して検討を行った。Dox刺激により、FLIPは軽度発現が低下するものの、有意な発現の低下は見られなかった。一方、TXNIPはDox刺激により有意に発現の低下がみられ、その際、アポトーシスが亢進することが判明した(TUNEL染色陽性細胞の増加、cleaved caspase-3の増加)。またDox刺激の際に、siRNAにてItchをknock downしたところ、さらにアポトーシスが亢進した。このことから、Itchはドキソルビシン心筋症の発症に対してprotectiveに機能していることが示唆された。今後は心筋特異的にItchを過剰発現させた遺伝子改変マウスを作製し、in vivoでの検討を進めながら、in vitroでもさらに詳細なItchの機能の検討を進める。
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