2011 Fiscal Year Annual Research Report
ドキソルビシン心筋症発症におけるユビキチン転移酵素Itchの機能の検討
Project/Area Number |
22790684
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 大 山形大学, 医学部, 助教 (90400548)
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Keywords | ドキソルビシン心筋症 / アポトーシス / Ubiquitination / ユビキチン転移酵素 / Itch |
Research Abstract |
ドキソルビシン(Dox)心筋症の発症メカニズムを、細胞内タンパク発現調節システムであるユビキチン・プロテアソームシステム(UPS)に着目して検討した。 着目した分子はユビキチン転移酵素Itchであるが、このItchは標的タンパクにユビキチンを付加する最終段階(Ubiquitination)の酵素で、UPSの中で重要な役割を担っている。しかし、これまで心筋細胞内でItchの発現を検討した研究はない。 まず我々は、新生仔ラット培養心筋細胞にてmRNAレベル、およびタンパクレベルで心筋細胞にItchが発現していることを確認した。また、Dox刺激により心筋細胞中のItchの発現が軽度増加することも確認した。また、ItchがUbiquitinationを行う標的タンパクで、かつアポトーシスにかかわるタンパクとして、F:LIC Einhibitory protein(FLIP)とThioredoxin-intercting protein(TXNIP)に着目して検討を行った。Dox刺激により、FLIPには有意な発現の低下は見られなかった。一方、TXMPはDox刺激により有意に発現の低下がみられただけでなく、それに伴い心筋細胞のアポトーシスも亢進することが判明した(TUNEL染色陽性細胞の増加、cleaved caspase-3の増加)。DoxによるTXMPの発現低下には、Itchを介したTXMPに対するユビキチンの付加が関係しており、プロテアソーム阻害薬によってDoxによるTXMPの発現低下は抑制された。さらに、Dox刺激の際、siRNAにてItchをknock downしたところ、アポトーシスがさらに亢進した。このことから、Itchはドキソルビシン心筋症の発症に対してprotectiveに機能していることが示唆された。 これらのin vitroでの実験結果をもとに、Itchの機能をin vivoで解析するために、Itchを心筋特異的に発現させたマウス(ItchTGマウス)の作成にとりかかった。αMHCpromoterの下流にItchを組み込んだTransgeneの作成にやや手間取ったものの、constructの完成を経てItchTGマウスの作成に成功したが、まだ週齢が若くin vivo実験には移行できていない。
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