2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790691
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江口 航生 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (20529094)
|
Keywords | パルミチン酸 / 炎症細胞 |
Research Abstract |
(1)心筋脂肪毒性における、免疫細胞の役割の解析 遊離脂肪酸が心不全の惹起あるいは心不全を増悪する可能性について、まずパルミチン酸持続投与モデルを用いて詳細に検討し、パルミチン酸負荷が心臓内に炎症を惹起する事を確認した。さらに、フローサイトメーターによる解析を行う事により、炎症の惹起においては免疫細胞の集積が生じることが一つの重要なメカニズムであることを見いだしている。さらに、メタボリックシンドロームの病態モデルとして、パルミチン酸負荷に加え、アンジオテンシンII負荷を組み合わせた結果、心筋内の炎症が強く増幅されることがわかり、diabetic cardiomyopathyなどの病態形成に関わる因子が明らかとなってきた。経過中の心機能変化を心エコーで検討では、明らかな収縮能の低下は認めていないが、拡張能の低下を示唆する所見を得ており、より長期の投与モデルを作成する事により収縮能の低下が認められれば、フローサイトメーター・マイクロアレイなどの手法を組み合わせる事により、そこに至る分子メカニズムについて詳細な検討ができると考えている。 (2)血管脂肪毒性における、免疫細胞役割の解析 これまでに我々は頸動脈結紮モデルにパルミチン酸負荷を行うことにより、パルミチン酸が平滑筋細胞に炎症形質を誘導することを見いだしている。この炎症形質の誘導メカニズムについて、TLR4などのpattern recognition receptorが関与していることがわかってきた。今後さらに、頸動脈結紮モデルにおけるパルミチン酸負荷による内膜肥厚の増悪において、これら炎症形質の誘導が原因としての働きを持つかをしらべ、そのメカニズムを詳細に明らかにする実験を計画している。
|