2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト単球由来細胞におけるsalusin-βの産生・分泌機構
Project/Area Number |
22790694
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 健吾 東京医科歯科大学, 医学部, 技術職員 (70549930)
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Keywords | salusin-β / 動脈硬化 / 単球 / マクロファージ / サイトカイン / radioimmunoassay |
Research Abstract |
Salusin-βは、細胞内コレステロールエステル化酵素であるAcyl-CoA : cholesterol acyltransferase-1の発現促進を介したヒト単球由来マクロファージ泡沫化促進により動脈硬化を進展させる。Salusin-βは動脈硬化を強力に制御する内因性因子であると同時にマクロファージや単球系細胞における分泌作用が重要である。そこで、ヒト単球系細胞株であるTHP1及びU937細胞におけるsalusin-βの発現・分泌動態を検討した。 両細胞のリアルタイムRT-PCR及びウエスタンブロットにおいて、前駆体であるpreprosalusin mRNA及びタンパク発現を確認した。無血清培養上清をradioimmunoassayで測定すると、両細胞はsalusin-βを分泌しており、12-O-tetradecanoylphorbol 13-acetate (TPA)で単球からマクロファージヘと分化誘導させると分泌量は著明に増加した。THP1細胞培養上清抽出物の逆相高速液体クロマトグラフィー画分の免疫活性のピークはsalusin-β標準品と一致しており、分泌されている分子型は20アミノ酸であった。炎症性サイトカインで刺激を行うと、THP1細胞ではLPS刺激で、U937細胞ではLPS及びTNF-α刺激で有意に分泌量が増加したが、mRNAの変化は無かった。 以上より、THP1及びU937細胞はsalusin-βを合成・分泌していた。また、単球及びマクロファージからsalusin-βが分泌されていることからsalusin-βは粥状動脈硬化症においてautocrine/parachne作用を有し、炎症性サイトカインは細胞内prepmsalusinのプロセシングを誘導している可能性があり、動脈硬化性疾患との関連が強く示唆された。今後、生合成の制御因子、細胞内局在、健常ヒト由来単球での分泌量や産生機構の違いを検討し、新たな動脈硬化の治療法への研究進展を目指す。
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[Journal Article] Chronic infusion of salusin-α and -β exerts opposite effects on macrophage foam cell formation and atherosclerosis in apolipoprotein E-deficient mice.2010
Author(s)
Nagashima M, Watanabe T, Shiraishi Y, Morita R, Terasaki M, Arita S, Hongo S, Sato K, Shichiri M, Miyazaki A, Hirano T.
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Journal Title
Atherosclerosis
Volume: 212
Pages: 70-77
Peer Reviewed
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