2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト単球由来細胞におけるsalusin-βの産生・分泌機構
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22790694
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
佐藤 健吾 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (70549930)
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Keywords | salusin-β / 動脈硬化 / 単球 / マクロファージ / radioimmunoassay / ELISA |
Research Abstract |
Salusin-βは細胞内コレステロールエステル化酵素であるAcyl-CoA:cholesterol acyltrasferase-1の発現促進を介して動脈硬化を進展させ、血管平滑筋細胞増殖促進作用を持つ。また、動脈硬化自然発症モデル動物のApoE欠損マウスへのSalusin-β投与で動脈硬化病変形成を促進することを報告している。Salusin-βradioimmunoassay系では血中濃度の測定には至っていないが、Salusin-αでは動脈硬化において相反作用を示し、ヒト血中濃度は動脈硬化性疾患の重症度に伴い有意に低下するのでバイオマーカー(感度:82%、特異度:93%、診断効率:85%)としての役割が期待されている。そこで、従来から使用していたウサギ抗ヒトSalusin-β抗体と認識エピトープが異なるトリ抗ヒトSalusin-β IgY抗体を作製し、血中濃度測定可能なサンドイッチELISA系の確立を試みた。サンプルはSep-pak C18カラムを用いてアセトニトリルで抽出して干渉物質を除いた血漿で演掟可能であった。健常人の血漿中Salusin-β濃度は約1nmol/Lであった。また、男女差は認められなかった。また、単球系細胞株であるTHP1及びU937細胞はSalusin-βを合成・分泌し、炎症性サイトカイン刺激で分泌が増加することを最近明らかにしているので、次にヒト全血からFicoll-PaqueとCD14マイクロビーズ抗体を用いて単球を調製し、7日間培養してマクロファージに分化させた。分化した培養マクロファージ(または分化段階)の培養上清を測定したが今回の条件では測定感度以下であった。さらに、ウエスタンブロットによりタンパク発現を解析したところ、前駆体のpreprosalusinが検出されたが、Salusin-βは検出されず、初代培養した単球およびマクロファージでは発現量が少なかった。今後はELISAで動脈硬化性疾患患者のSalusin-β血中濃度を測定し、病態生理学的意義およびバイオマーカーとしての有用性を検討していく。
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