2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790697
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
薄井 荘一郎 金沢大学, 附属病院, 助教 (50507043)
|
Keywords | 循環器・高血圧 / シグナル伝達 / タンパク品質管理機構 / 遺伝子 / 心不全 / 心肥大 / 心臓リモデリング |
Research Abstract |
本年度は、筋特異的ユビキチン連結酵素MAFbxの圧負荷による心臓リモデリングの役割を中心に検討を行った。マウスに圧負荷モデル(大動脈縮窄モデル、イソプロテレノール持続投与モデル、アンジオテンシンII持続投与モデル)を作成した。野生型マウスとMAFbx遺伝子欠損マウスにそれぞれの負荷モデルを作成し、組織学的検討を行った。これらの検討から、圧負荷により誘導される、心肥大(心重量の増加、心筋細胞断面積の増加)がMAFbx遺伝子欠損マウスでは野生型マウスを比較して、有意に抑制されていることが明らかになった。大動脈縮窄モデルで作成した心臓よりmRNAを抽出し、DNA microarrayを用いて網羅的解析を行い、野生型マウスとMAFbx遺伝子欠損マウスの遺伝子発現パターンを検討した。野生型マウスでは、圧負荷により転写因子NF-kappaB結合配列を持つ遺伝子群の発現が増強していたが、MAFbx遺伝子欠損マウスではその増強効果が抑制されていた。これらの結果から、MAFbx遺伝子欠損マウスではNF-kappaB pathwayが抑制されている可能性が示唆された。野生型マウスでは、圧負荷によりNF-kappaBの活性化がおこるが、MAFbx欠損遺伝子マウスでは活性化が抑制されていた。野生型マウスでは、圧負荷により、NF-kappaBの活性阻害タンパクであるI-kappaBの発現が減少していたが、MAFbx遺伝子欠損マウスでは、I-kappaBの発現低下が抑制されていた。また、野生型マウスと比較してMAFbx遺伝子欠損マウスでは、I-kappaBのポリユビキチン化が低下していた。以上の検討から、MAFbxはI-kappaBの圧負荷による発現調整に関与しており、圧負荷による心肥大・心臓リモデリングに重要な役割を持つ可能性が示唆された。
|