2011 Fiscal Year Annual Research Report
Wnt11による心保護メカニズムの解明と治療応用技術の開発
Project/Area Number |
22790698
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 光一 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (20567010)
|
Keywords | wnt11 / アデノ関連ウイルス9 / ウイルス性心筋炎 / Raw細胞 |
Research Abstract |
Wnt11の心筋炎における効果を評価するため、まずアデノ関連ウイルス9(AAV9: adeno-associated virus9)の作成を行った。アメリカ、フィラデルフィア大学ウイルス施設とMTA締結の後、飴V9カプシドプラスミドの提供を受ける。同プラスミドを利用しAAV9-LacZとAAV9-wnt11のウイルスベクターを作成する。超遠心、透析を利用した精製・濃縮を行い動物投与に十分な量と濃度のウイルス溶液の作成を行う。心筋炎モデルとしてはコクサッキーウイルスウイルスを投与しウイルス性心筋炎モデルの作成を試みた。活性の高いコクサッキーウイルスを準備することで4割前後のマウスが2週以内に死亡した。このモデルを利用してwnt11の効果を評価した。コクサッキーウイルス投与2週前にAAV9-LacZもしくはAAV9-wnt11を静脈投与し十分な遺伝子発現が誘導されている状態でウイルス性心筋炎を誘導した。それぞれの群で24匹ずつのマウスの生存を追い、2週間以内にコントロール群の42%のマウスが死亡したのに対し、wnt11群では12%のマウスのみが死亡した。統計学的にも有意な生存率の改善が確認された。また細胞に対するwnt11の効果を検証するためにまずwnt11蛋白を産生するstable cell lineの作成を行った。活性の高いリコンビナント蛋白を得ることは難しいため、コントロールもしくはwnt11蛋白作成安定株の樹立をHEK細胞の利用にて進めた。複数の安定株を樹立し、ウエスタンにより最も蛋白産生の高い株を選択し、その細胞のCondition mediumを利用してin vitroの実験を行った。炎症において重要な細胞であるマクロファージのCell lineとしてRaw細胞を利用する。Raw細胞はLPSの投与により種々の炎症性サイトカインを産生する。Raw細胞のメディウムを予め上記のコントロールもしくはwnt11のCondition mediumに替え、続いてLPSによる炎症を誘導した。8時間後の炎症性サイトカインのRNA産生はwnt11投与により明らかに抑制されていることが確認された。これらの結果はwnt11が心筋梗塞や心筋炎だけでなく、広く炎症を伴う心臓の病態でSurvivalをも改善させる強い抗炎症作用を持つことを示している。
|
Research Products
(1 results)