2011 Fiscal Year Annual Research Report
血液凝固制御因子とギャップ結合による血管内皮細胞の機能維持機構の解明
Project/Area Number |
22790700
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
岡本 貴行 三重大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30378286)
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Keywords | 血管病変 / 内皮細胞 / ギャップ結合 / 血液凝固 / 炎症 / コネキシン / 活性化プロテインC / トロンボモジュリン |
Research Abstract |
・研究の内容血管病の一因として考えられる血管内皮機能障害の発症機構を解明するため、抗炎症作用・内皮保護作用を有する活性化プロテインC(APC)とトロンボモジュリン(TM)が内皮細胞間Gapjunction(GJ)に及ぼす影響と、GJが炎症応答や血管新生など血管機能に及ぼす影響を解析したので、当該年度の研究成果に基づき報告を提出する。 ・研究の成果と意義(1)APCを処理した培養内皮細胞はConnexin(Cx)32の発現を増加し、GJの機能(隣接した細胞内の物質移送)を亢進した。この結果はGJを介した細胞間相互作用がAPCの細胞保護作用の発現に重要な役割を有すことを示唆した。また、(2)Cx32強制発現細胞を作成し、in vitro血管新生評価を行った結果、Cx32強制発現細胞では血管新生が著しく亢進していた。そのため、APCが誘導する血管新生亢進に対してCx32の発現増強が関与する可能性を見出した。(3)単球系細胞にはCx32、Cx37、Cx43が発現することを明らかにし、これらCx分子を介した内皮細胞との相互作用は単球からのインターロイキン(IL)-6の分泌を増加した。これらの結果は、内皮細胞がGJを介して単球の活性化などの炎症反応を調節している可能性を示唆した。 ・研究の重要性APCやTMの抗炎症作用・細胞保護作用の分子機構、及び血管系に発現するGJの異常による動脈硬化症など血管病の発症の分子機構は明らかでない。これらの解明は、血管病の治療、予防、診断の観点から重要である。本研究では、APCやTMがGJを介して炎症や血管新生を制御すること、また、GJを介した内皮細胞・単球間相互作用が炎症反応を制御することを明らかにした。
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Research Products
(5 results)