2011 Fiscal Year Annual Research Report
心筋リモデリングにおけるTRPC3/6を介したシグナルクロストークの意義の解明
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22790702
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木下 秀之 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 特定助教 (30467477)
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Keywords | 分子心臓病態学 |
Research Abstract |
受容体活性型Ca2+チャネルであるTRPC3/6は、病的心筋リモデリング促進に関与していることが報告され、本研究では、心保護作用を有するナトリウム利尿ペプチド-GC-Aシグナルと、TRPC3/6-カルシニューリン-NFATシグナルとのクロストークの存在とその分子機序の解析を行い、さらにTRPC3/6阻害による病的心臓リモデリングに対する効果の検討を行った。 我々は今まで、各種培養細胞にて、ナトリウム利尿ペプチド-GC-A経路がTRPC6のthreonin69部位での直接のリン酸化を介し、NFAT依存性転写活性や細胞内Ca2+流入を抑制することを明らかとした。 本年度は、ANP,BNPに対する共通の受容体であるGC-Aを欠失させたGC-A KOマウスでみられる病的心臓リモデリングを、TRPC阻害薬であるPyr2が抑制すること、TRPC6トランスジェニックマウスとGC-A KOとの交配により、GC-A KOマウスにおいてTRPC6過剰発現により心肥大が増悪する事を示し、生体内におけるナトリウム利尿ペプチド-GC-AシグナルとTRPC3/6-カルシニューリン-NFATシグナルのクロストークの意義を明らかとした。 さらに、TRPC阻害による病的心臓リモデリング抑制効果に関する検討を行い、ラット新生仔培養心筋細胞において、siRNAを用いたTRPC3/6の阻害が、アンジオテンシンIIやエンドセリン-1刺激による自動発火頻度の増加を抑制し、Pyr2がエンドセリン-1刺激や、TRPC6の過剰発現によるRCAN1の発現亢進を抑制し、心筋細胞肥大を抑制することを明らかとした。 TRPCには1-7のサブタイプが存在し、TRPC3/6は生体内でヘテロ4量体を形成しており、TRPC3の選択的な阻害は、TRPC3/6複合体を阻害する効果を持つことが示されている。選択的TRPC3阻害薬であるPyrazole3(Pyr3)が、アンジオテンシンIIの慢性投与にてみられる心肥大を、Pyr2の場合と同様に抑制することを明らかとした。 以上結果より、ナトリウム利尿ペプチド-GC-AシグナルとTRPC3/6-カルシニューリン-NFATシグナルとのクロストークの存在と分子機序、生体内での意義が明らかとなり、さらにTRPC、特にTRPC3/6を標的とした治療が病的心臓リモデリング抑制に重要であることが明らかとなったものと考える。
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Research Products
(13 results)