2010 Fiscal Year Annual Research Report
心不全の発症進展機序としての脳内グリア細胞異常の解明
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22790709
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岸 拓弥 九州大学, 大学院・医学研究院, 客員助教 (70423514)
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Keywords | 心不全 / 交感神経活動 / グリア細胞 |
Research Abstract |
本研究では、心不全の病態において重要な交感神経系活性化の原因として、神経細胞保護の役割をしているアストロサイトと脳におけるマクロファージの役割をしているミクログリアからなるグリアでの炎症に着目し、その原因として、ミクログリアにおけるToll-like receptor4(TLR4)異常を介したアストロサイトにおけるアポトーシスの関与を明らかにすることが目的である。当該年度では、以下の検討を行った。 1)ニューロン・アストロサイト・ミクログリア異常の検討 ・ニューロン・アストロサイト・ミクログリアの免疫組織学的検討により、心不全での脳内、特に延髄交感神経活動中枢(RVLM)において、ニューロンは変化していないが、アストロサイトが減少しミクログリアが増加していることが明らかとなった。 ・心不全ラットのRVLMへのTLR4のin VIVO siRNA導入により、アストロサイトの滅少が有意に抑制された。 2)ミクログリアでの斑症性反応の具常およびアストロサイトでのアポトーシスの検討 ・心不全脳内マイクログリアにおいて、TLR4およびそのセカンドメッセンジャーであるMyD88、NF-κBが増加していることをタンパクおよびmRNAレベルで確認した。さらに、アストロサイトでcaspase-3経路を介したアポトーシスが亢進していた。 ・心不全ラットのRVLMへのTLR4のin vivo siRNA導入により、TLR4・MyD88・NF-κBいずれも減少し、アストロサイトのアポトーシスも抑制され、交感神経活動も抑制・心エコーでの左室リモデリングや左室拡張末期圧の上昇も改善した。 これらの結果から、脳内、特に交感神経活動中枢におけるミクログリアのTLR4を上流とした炎症性機転がアストロサイトのアポトーシスを誘導して交感神経活動活性化から心不全増悪をきたしていると考えられる。
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