2011 Fiscal Year Annual Research Report
心不全の発症進展機序としての脳内グリア細胞異常の解明
Project/Area Number |
22790709
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岸 拓弥 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (70423514)
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Keywords | 心不全 / 交感神経活動 / グリア細胞 |
Research Abstract |
本研究では、慢性心不全の病態において重要な交感神経系活性化の原因として、neurovascular coupling異常に加え、ミクログリアにおけるToll-like receptor4 (TLR4)異常を介したアストロサイトにおけるアポトーシスの関与を明らかにすることが目的である。慢性心不全状態においてニューロンよりもマイクログリア細胞が増加していること・アストロサイトがアポトーシスにより減少していること・TLR4およびそのセカンドメッセンジャーであるMyD88や炎症の指標であるNFκBが活性化しているという前年度の結果を踏まえて、平成23年度には、脳内TLR4を標的とした慢性心不全治療の検討を行った。まず心筋梗塞心不全モデルラットの脳内交感神経中枢(RVLM)局所にin vivo TLR4-SiRNA導入を行い、慢性的にRVLM局所でのTLR4を阻害して炎症性機転が抑制されることを確認した。さらに、TLR4-siRNAのRVLM局所導入により、心筋梗塞心不全モデルの交感神経活動抑制に加え心機能改善・左室内圧低下・心臓及び肺重量の低下を認めた。加えて、心筋梗塞作成前にあらかじめTLR4-SiRNAをRVLM局所導入することにより、心筋梗塞後の交感神経活動上昇・心機能低下・左室内圧上昇の程度が軽くなることも確認した。従来の心不全治療薬であるアンジオテンシン受容体拮抗薬の一部が、内服によりRVLMでのTLR4を抑制することも明らかになった。これらの結果から、脳内特にRVLMにおけるTLR4による炎症性機転が交感神経活性化を介して心不全の発症進展に置いて重要であり、心不全治療における新たなターゲットになりうるものであると考えられる。
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Research Products
(1 results)