2011 Fiscal Year Annual Research Report
受動運動による骨格筋由来因子を介した血管新生メカニズムの解明
Project/Area Number |
22790711
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
泉家 康宏 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (10515414)
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Keywords | 受動運動 / 骨格筋 / 分泌因子 / 血管新生 |
Research Abstract |
受動運動の下肢血管新生に及ぼす効果の検討:受動運動群ではコントロール群と比較して下肢虚血手術後の著明な血流改善を認めたCD31染色により血管新生を微小血管レベルで評価したところ,受動運動群では有意な血管新生の増加が認められた.患側の内転筋サンプルをwestern blotにて解析したところ,受動運動終了後3,6時間でeNOSの著明な活性化が認められ,VEGF等の血管新生因子の発現増加が認められた.WBPAによる血流改善効果はeNOS欠損マウスでは認められなかったことから,全身加速ベッドの血流改善効果はeNOSを介していると考えられた. 受動運動により呂骨格筋より分泌される血管新生因子のスクリーニング:プロテインアレイにて血管新生因子の発現を網羅的に解析したところ、既知の血管新生因子であるVEGF,bFGF,SDF-1の骨格筋での発現はWBPAにより著明に増加した-次に受動運動による虚血肢の遺伝子発変化をマイクロアレイにて網羅的に解析した.スクリーニングの結果muscle-derived factor 1 (MDF-1)のタンパク発現は受動運動により骨格筋で著明に増加し,それに伴い血中濃度も有意な増加を認めた. 骨格筋由来分泌因子のアデノウイルスベクターの作製とin vivoでの血管新生アッセイ:下肢虚血手術を施行したマウスの骨格筋にアデノウイルスベクター用いてMDF-1を遺伝子導入することにより,骨格筋でのAktとeNOSの活性化を認め,レーザードップラーでの血流改善及び組織学的にCD31陽性細胞の増加を認めた.MDF-1による血流改善効果はeNOSノックアウトマウスでは認められなかったことから,MDF-1の血管内皮細胞に対する作用はAkt-eNOS経路を介していることが示唆された.すなわちMDF-1は受動運動により骨格筋より分泌される新規血管新生因子となりうる可能性があると考えられた.
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